選定理由 | 夏鳥として府内に生息して繁殖する。繁殖個体数は極めて少ないが、近年減少はしていない。 |
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形態 | 全長28cm。小型のアジサシ。夏羽では額が白く、頭上から後頭にかけて黒い。冬羽では額と頭頂が白く、後頭は黒い。 |
分布 | ユーラシア大陸から北アメリカ大陸の中緯度地帯で繁殖し、オーストラリア、アフリカ大陸、南アメリカ大陸で越冬する。国内では夏鳥として本州以南に渡来し繁殖する。府内へも夏鳥として渡来する。府北部地域からの記録は少ない。 ◎府内の分布区域 北部地域、南部地域。 |
生態的特性 | 海岸、河川、湖沼に生息。上空から水中に飛び込んで小魚を採食する。5月頃に地面に浅いくぼみをつくり、一腹2~3卵を産み、雌雄が交代で抱卵する。 |
生息地の現状 | 府内では4月下旬頃、主に淀川水系の河川に姿を見せ、河川敷や造成地の砂礫地で営巣するが、繁殖個体数は極めて少なく不安定であり近年繁殖記録がない。川から離れたため池でも、小魚を採食するのが時々観察される。 |
生存に対する脅威 | 営巣地となる造成地や河川敷での人による影響が大きい。 |
必要な保全対策 | 毎年の営巣地を把握できるシステムを構築し、営巣地に人が立ち入らないような管理が必要である。特に河川敷へのオフロード車の乗り入れを厳重に規制する必要がある。デコイや音声をつかったコロニーの誘導も有効かもしれない。 |
関係法令 | 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(国際希少野生動植物種) |
文献 日高(監)(1996)、京都府(1993)、真木、大西(2000)、高野(1982)
執筆者 須川恒、中村桂子