選定理由 | 冬鳥として府内で越冬する。越冬個体数は少なく、近年減少している。 |
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形態 | 全長29cm。頭上から頸、胸側、体の上面はオリーブ褐色で黒い縦斑があり、顔から胸は青灰色、胸と脇には白と黒の横斑がある。上嘴は褐色、下嘴の基部は赤色で目立つ。 ◎近似種との区別 ヒクイナは顔から胸が赤く、足も赤い。 |
分布 | 主に東北地方や北海道で繁殖するが、近年関東地方での繁殖も確認されている。冬期は本州中部以南に渡る。府内には冬鳥として少数が渡来する。 ◎府内の分布区域 南部地域。 |
生態的特性 | 池沼、河川等の湿地に生息する。越冬地では半夜行性で、警戒心が強くて観察しにくいが、朝夕には姿を見やすい。雑食性で昆虫や小魚などの動物質から水草などの植物質まで、様々なものを食べる。ヨシ原や沼沢地、休耕田などに、草の株を折り曲げて巣をつくる。一腹6~8卵を産み、雌雄交代で19~21日間抱卵する。 |
生息地の現状 | 府内には冬鳥として10月中旬頃、広沢池、深泥池、桂川、巨椋干拓地等に渡来し、3月下旬頃渡去する。 |
生存に対する脅威 | 越冬数が近年減少しているのは、池岸整備や河川改修でヨシ原などがなくなったり、圃場整備などによる改変のためと思われる。 |
必要な保全対策 | 池岸や河川敷などにおいて水辺の植生帯保全が重要である。 |
文献 日高(監)(1997)、京都府(1993)、真木、大西(2000)、高野(1982)
執筆者 須川恒、和田岳