選定理由 | 留鳥として年中府内に生息する。繁殖個体数は極めて少ないが、近年減少はしていない。 |
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形態 | 全長オス38cm、メス51cm。翼開長84~120cm。背、翼、尾は暗青灰色で、尾は比較的短く黒帯がある。頬にはひげ状の黒斑が目立つ。下面は白くて腹は黄褐色を帯び、黒色横斑が密にある。幼鳥は上面が褐色、下面が淡褐色で胸から腹に黒褐色の縦斑がある。 ◎近似種との区別 チゴハヤブサは小さく、成鳥の体の下面に縦斑があり、下腹は赤茶色。 |
分布 | 留鳥として九州以北に分布し、冬鳥として全国に渡来する。主に本州中部以北~北海道で繁殖する。府内では北部地域や南部地域でごく少数が繁殖し、全域で越冬する。 ◎府内の分布区域 全域(繁殖期は北部地域、南部地域)。 |
生態的特性 | 海岸の崖などで営巣する。春秋はタカ類の渡りルートでよく観察され、冬期は平地の開けた場所に生息することが多い。主に小鳥を捕食する。産卵期は3~4月。一腹卵数は3~4卵。主にメスが29~34日間抱卵。雛はふ化後35~42日で巣立つ。 |
生息地の現状 | 府内では日本海の離島や海岸部の崖で営巣している。1995年以降府南部地域の採石場跡の断崖で営巣を開始し、雛が巣立った年もある。内陸部での営巣は近畿地方では初めてのケースである。 |
生存に対する脅威 | 営巣地でのしつこい撮影行動が繁殖の妨害になることがある。 |
必要な保全対策 | 特に内陸部の営巣場所の保護をはかる必要がある。 |
関係法令 | 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(国内希少野生動植物種) |
文献 日高(監)(1996)、京都府(1993)、真木、大西(2000)、高野(1982)
執筆者 須川恒、和田岳