選定理由 | 留鳥として年中府内に生息する。繁殖個体数は極めて少ないが、近年減少はしていない。 |
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形態 | 全長45cm。オスは美しい色彩をしていて、後頭の羽毛は冠羽状になっている。三列風切の一部が銀杏羽と呼ばれる帆のような目立つ形になっている。メスは灰褐色で目の周囲が白い。 ◎近似種との区別 トモエガモのメスは褐色味が強く、目の回りが白くない点で、オシドリのメスと区別できる。 |
分布 | 北海道、本州、九州で繁殖し、西日本で越冬する個体が多い。府内でも数か所で繁殖しており、冬期は山間の河川や池で観察される。 ◎府内の分布区域 全域。 |
生態的特性 | 平地から山地にかけての広葉樹が覆い被さるような薄暗い水辺を好む。カシやシイなどのドングリを好んで採食するほか、水草やイネ科植物の種子、水生昆虫などを食べる。営巣は樹洞で行う。一腹卵数は7~10卵。28~30日でふ化し、雛は巣の下へ落下して、メス親に連れられて水辺へ達して育つ。 |
生息地の現状 | 府内では桂川千鳥淵や亀岡市池尻等で巣立ち後の幼鳥が確認され、北山の一部や山間の水田で夏期に観察されている。冬期は北方からの越冬個体も加わり、山間の河川や池で観察される個体が増加するが、まとまった群れが見られる場所は限られている。 |
生存に対する脅威 | 越冬する池などにおける人為的撹乱。 |
必要な保全対策 | 繁殖環境と越冬環境を詳細に把握する必要がある。 |
改訂の理由 | 山地での繁殖個体群が極めて少ないではなく少ないと判断されるため。 |
文献 日高(監)(1996)、京都府(1993)、真木、大西(2000)、高野(1982)
執筆者 須川恒、中村桂子