サンショウウオ目 サンショウウオ科
カスミサンショウウオ
京都府カテゴリー | 絶滅寸前種 |
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2002年版 | 絶滅寸前種 2002年版を参照する |
環境省カテゴリー | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) |
京都方言 | はたけどじょう、やぶどじょう |
選定理由 | 環境省レッドリスト2012年版に掲載。府指定の希少野生生物。かつては分布域内で普通に見られたが、限定された環境を生息場所としているため、環境変化に弱く減少傾向にある。環境指標性が高い。 |
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形態 | 全長はオスで87~108mm、メスで79~113mm程度。肋条数は13本のことが多い。鋤骨歯列はV字型。前後肢を体軸に沿って折り返すと、前後の指間には隙間ができる個体が多い。後肢は5指性。背面は緑褐色~褐色で、顕著な斑紋はない。尾の上縁に黄色条線をもつ個体が多い。幼生の背面は黄褐色で斑点が散布し、卵嚢はコイル状で外被に条線がない。 ◎近似種との区別 アベサンショウウオやトウキョウサンショウウオは、肋条数が12本で鋤骨歯列がU字型の個体が多く、尾の縁の黄色の条線を欠く。アベサンショウウオの卵嚢外被には、明瞭な縦方向の条線がある。 |
分布 | 岐阜県以西の本州、四国、九州に分布。 ◎府内の分布区域 南丹~山城地域(南丹市、亀岡市、京都市、長岡京市、大山崎町、京田辺市、精華町、木津川市、南山城村)。 ◎近似種との区別 アベサンショウウオは丹後地域にのみ分布し、両者は混生しない。 |
生態的特性 | 平地から低山地(府内では標高約200m以下)の林床や草地に生息する。ふだんは浅い土壌中や落葉、倒木、石などの下に潜んでおり、節足、環形、軟体動物などを捕食する。移動は夜間に行われることが多い。繁殖は2月から5月に、林縁の湿地や池沼、水田の溝、用水路などで行われる。産卵場所には湧水のある場合が多く、卵嚢は水中の落葉や落枝、水草などに1対ずつ産みつけられる。産卵数は地域によって異なり、京都市伏見区(標高約80m)では平均99卵であるが、南山城村(標高約150m)では平均49卵と少ない。幼生は水中で生活し、水生の節足、環形動物などを捕食する。幼生の多くは初夏に変態、上陸する。性成熟は2歳以降と推察される。野外での寿命は不明であるが、飼育下では京都市産の個体が15年生存した例がある。 |
生息地の現状 | 府内の生息地の多くは、現状が把握されていないが、京都市の生息地のいくつかは、既に湧水の枯渇などによって絶滅したとされている。この10年間に生息情報があるのは、京都市西京区、東山区、伏見区、南丹市、亀岡市、長岡京市、大山崎町、京田辺市、木津川市、南山城村などで、各地域における生息地点数も少ない。亀岡市や木津川市の生息地では開発が計画されており、京都市の深泥池ではオオクチバスやアメリカザリガニ、亀岡市ではアライグマなど外来種の影響が懸念される。 |
生存に対する脅威 | 宅地化、森林の伐採、湿地の草地化、圃場整備、水路のコンクリート化、地下水の枯渇、汚水の流入、道路建設、外来種の侵入などが生存を脅かしている。 |
必要な保全対策 | 繁殖に必要な水環境(水田、池沼、溝など)と成体や幼体の生息場所となる周辺の陸環境(森林や草地)を、一括して保全していく必要がある。また、生息場所付近の道路などに側溝を設置する場合には、落下した個体が這い上がるような構造にするなどの配慮が必要である。 |
関係法令 | 京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例(指定希少野生生物) |
その他 | 日本固有種 |
文献 秋山(1935)、佐藤(1943)、田辺、松井(1997)
執筆者 田辺真吾、松井正文