クモ類の概要
京都府のクモ類相
これまでに京都府で生息が確認されているクモ類(クモ目)は、45科357種である(新海ほか 2012)。これらはすべてクモ亜目に属しており、ハラフシグモ亜目のクモは京都府には生息していない。クモ亜目の45科357種のうち、トタテグモ下目は3科5種で、残りの42科352種はクモ下目に属している。種数の多い科は、コガネグモ科(57種、全体の16.0%)、ヒメグモ科(48種、13.4%)、サラグモ科(45種、12.6%)、ハエトリグモ科(30種、8.4%)、コモリグモ科(20種、5.6%)などであり、これら5科で全体の56.0%を占めている。
京都府のクモ相の調査は、まだ不十分である。従来の調査は京都市に偏っており、他の地域での調査があまりなされていないのが現状である。隣接する大阪府で生息が確認されている種は48科443種(新海ほか 2012)であり、京都府より3科86種も多い。京都府で未知のマシラグモ科など3科のクモも、調査が進めば確認できるものと思われる。京都府の面積は大阪府の2.4倍、森林面積は6.0倍であり、京都府にはまた、日本海沿岸から標高約900mの山地まで、草原、森林、農耕地、都市など様々な環境が存在している。これらのことを考慮すると、京都府の種数は大阪府をかなり上回ると予想される。ちなみに、愛知県は557種、岡山県は567種の生息が確認されている(新海ほか 2012)。
クモ類が京都府で減少しているかどうかについては、はっきりしたことはわからない。ただしコガネグモは、40年前にくらべて、京都市近郊では激減しており、これは、宅地造成と農薬散布のためと思われる。同様のことが、クモ類一般についても起こっているかもしれない。
執筆者 吉田真、加村隆英