ウミヒルモ |
学名 | Halophila ovalis (R. Br.) Hook |
分類 | 単子葉植物綱 オモダカ目 トチカガミ科 |
分布 | ウミヒルモは、インド洋から西部太平洋の熱帯域を中心に温帯域まで広く分布しており、紅海からマダガスカル島や南アフリカの温帯域にかけての東アフリカ沿岸、アジア、オーストラリアにおいて普通に見られます。北限は日本で、南限はタスマニア島、太平洋における東の生息域は、ハワイ諸島、サモア、及びトンガまでとなっています。 日本においては、石川県以南の日本海沿岸、中部地方以南の太平洋沿岸、瀬戸内海沿岸及び南西諸島沿岸に分布しています。 主に、内湾域の砂地に生えており、沖縄などの南の島では、リーフ(さんご礁)の内側の砂地で見られます。また、京都府においては栗田湾や伊根湾などの波の穏やかな海域の水深3〜15mぐらいの砂地の海底に小規模な群落を形成しています。 |
利用・生態 | ウミヒルモは、アマモの仲間と同様に、海の中で花の咲く種子植物で、胞子で繁殖する海藻と区別するために海草と呼ばれています。昔は日本各地で普通に見られたようですが、近年では沿岸域の汚染や埋め立てなどによる環境変化に伴い分布域が少なくなってきており、環境省のレッドデータブックでは、準絶滅危惧種に指定されています。京都府においては、現在でも数箇所で群落が確認されており、レッドデータブックで絶滅危惧種に指定されているホソエガサと同じ場所に生えていることが多いようです。 砂地の海底に、鮮やかな緑色をした楕円形の小さな葉が2枚づつ対になって出ており、海の中の植物なのに、陸上の植物に非常によく似て見えます。また、7月ころに花を咲かせます。 京都府ではあまり濃密な群落を形成しませんが、南の暖かい地域では非常に濃密な大群落を形成し、人魚伝説のもととなったジュゴンが好んで食べる海草として知られています。ジュゴンはウミヒルモの地下茎を掘り起こして食べ、ジュゴンの食べたあとはウミヒルモの群落の中に溝ができたように見えるため、ジュゴントレンチ(トレンチは溝のことです)と呼ばれています。また、ウミヒルモの仲間は、巨体のジュゴンを育むくらいですから、非常に高い生産力を持っており、その生産力は熱帯雨林に匹敵するといわれています。 |
砂地にひろがるウミヒルモの群落 |
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