2 改良網の検討 (1) 基本的な構造の検討 改良網の基本的な構造を考える際に、カレイ類、カニ及びヒトデ類の遊泳能力に着目しました。カレイ類はヒレを持ち遊泳力がありますが、カニやヒトデ類は泳ぐことができません。つまり、網に入ったカレイ類は泳いで網の奥に達しますが、カニやヒトデ類は歩いて、もしくは転がって奥へと移動すると考えられます。 そこで考案したのが図2に示した構造です。すなわち、底曳網の中に昇り網と2脚長(目合を伸ばした状態)で60cmという大きな目合の選択網を取り付け、上下2段構造になるようにしました。遊泳力のあるカレイ類は、昇り網を昇ってそのまま遊泳して網の奥までいきます。一方、カニやヒトデ類は、昇り網の先にある選択網部分から底網に落ち、底網の一部を切除したところから網外に排出される仕組みになっています。
(2) 底曳網の改良作業 次に、基本的な構造を基にして、実際の底曳網を改良する必要があります。漁業者の皆さんが使っている網は、各船で種々の工夫が加えられており、全く同じものはないといわれています。改良網の効果の有無を確かめる試験操業は、全ての漁船で行うのが理想的ですが、実際には不可能なことです。 そこで、網野、間人及び舞鶴地区を代表する合計4隻の方の底曳網を借りて、それぞれの網に改良を加えて試験操業を行うことにしました。 網の改良作業は、まず海洋センターで網図面を作成し、具体的な昇り網や選択網の構造及び取付け方法などについては漁業者の皆さんと何回か協議をしながら行いました(写真1)。このような改良網の開発試験は、小型底曳網漁業が多い石川県や福井県でも進められています。基本的な構造は他県もほぼ同じですが、京都府では昇り網と選択網との間に、選択網の網丈(底網からの高さ)を確保するために浮子を取付けるなどの独自の工夫をしています。
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