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                                    お わ り に

 近年、漁獲強度が強くなるとともに、水産資源全体が減少してきており、水揚げ量が減少してきています。それは釣り・延べ縄漁業においても同じです。その中にあって、ますます魚礁の果たす役割は大きくなってきています。文中でも紹介しましたように、魚礁に居付く「モイオ」は蝟集性が強く、魚礁効果を高めており、これらの資源も有効に活用していきたいものです。
 また、魚礁の利用は漁業者の他に遊漁者によるものが多くなってきているのが現状です。その意味では魚礁が広く利用されてきている側面を持つ一方で、適正な魚礁の利用の仕方をめぐって確固たる社会的なルールづくりが求められてきています。
 さらに、魚礁の副次的効果でいえば、釣り・延べ縄の利用だけではなく、定置網など他の漁業への波及効果や資源の一時ストックなど資源の活用を図る間接的効果も期待できることが示唆されました。従来の魚礁の利用・効果は魚礁域での魚群の蝟集状況や水揚げ量・金額についてのみ焦点があたってきましたが、魚礁が多面的に利用されている昨今においては魚礁の効果についても多方面な利用を考慮することが求められています。
 今後は自然に親しむ市民もさらに多くなることが予想され、遊漁者人口が増加し、魚礁の利用はますます多くなってくることが考えられます。その意味では漁業と遊漁の今後の魚礁利用はどうあるべきなのか、ひいていえば釣り・延べ縄漁業の今後のあり方、未来像も浮かび上がってくるといっても過言ではないと思われます。
なお、魚礁調査については、京都府釣漁業連合会の協力を得ました。


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