はじめに
近年の京都府のズワイガニ漁獲量は、年変動をともないながらも増加の傾向にあります。平成11年度には195トンを記録し、昭和47年以来の豊漁となりました。乱獲などの影響により、一時は50トン台にまで落ち込んだ漁獲量は、底曳網漁業者の懸命な資源管理の取り組みによって回復してきたのです。
一方、漁獲金額は思うようには増えていません。これには水産物全般の課題となっている魚価の低迷に加え、より単価の低い銘柄のカニをたくさん漁獲していることにも関係しています。
市場に水揚げされる雄ガニには、脱皮してからの経過時間の違いにより、甲羅の硬い「たてガニ」と柔らかい「水ガニ」の2つの銘柄があります。市場では「たてガニ」は高値、「水ガニ」は安値で取引されています。つまり、「水ガニ」をたくさん獲っても漁獲金額は期待どおりには増えないということです。今、ズワイガニ漁業では回復傾向にある資源をいかに効果的に利用するか、いいかえれば漁獲金額を増やすためにはどのような漁獲をすれば良いのかという課題に直面しています。
現在、海洋センターではズワイガニ資源を経済的かつ生物学的に有効利用するための方策を検討しています。本冊子では単価の低い「水ガニ」の漁獲に着目し、その実態と問題点を整理し、資源を有効に利用するための漁獲方法について紹介します。
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