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春、丹後の海を漂う「流れ藻」を網ですくうと、ウスメバルの稚魚が獲れることがあります。ウスメバルは秋~冬に交尾し、メスは受精卵を体内でふ化させ、翌年の2~3月に水深100メートル以上の海域で産みます。このような繁殖形態を卵胎生といいます。
産まれた仔魚は外敵から身を守るため、およそ50日もの間「流れ藻」に付いて生活します。そのため、「流れ藻」ごと沿岸の定置網で混獲されることもあります。体長5センチくらいに成長すると、「流れ藻」を離れて沿岸の浅い海底に着底し、その後、魚礁や礁を伝って再び水深100メートル以上の海域へ移動すると考えられています。
3歳くらいになると体長は15センチを超えて成熟し始め、この頃から一本釣で漁獲されます。漁獲のピークは春~夏にかけて。また、遊漁の対象魚としても人気があります。
メバルよりも沖合いにいるので沖メバルと呼ばれることもありますが、丹後ではコムギと呼ばれ、煮付や刺身で賞味されています。
京都府立海洋センター主任 宮嶋 俊明
(平成19年9月19日、京都新聞掲載)
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