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タマキビガイは海の生物ですが、海水に浸かるのが嫌いな巻貝です。バケツの中にこの貝を入れておき、しばらく放置すると、全部水面上に這い上がってきます。
丹後でも京丹後市の琴引浜、五色浜などの岩場、満潮になっても海水に浸かることがない、しぶきだけがかかるような高さの窪みや割れ目に、1~2センチの大きさのタマキビガイがじっと体を潜めているのを観察することができます。岩の上に付いている藻類を食べて生きています。
普段は、海水に浸かることはありませんが、子供を産むのは海の中です。このため、春頃の産卵期には海水に浸かっているタマキビガイを見つけることができます。
丹後の海に行かれたら、岩の隙間でじっと耐えるように生きている小さな生き物を観察してみてください。
京都府立海洋センター海洋生物部長 西廣富夫(現、水産事務所長)
(京都新聞掲載)
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