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1月に入ると1尾が数百円のズワイガニが店頭に並ぶようになります。これが水ガニで、前年の9~10月頃に脱皮した雄ガニを指します。普通のカニに比べ甲羅は柔らかく、身入りが多少劣るため、安価で販売されています。カニ漁終盤の3月頃には甲羅も硬く、身入りも良くなり、普通のカニとの見分けが難しいものも出てきます。
水ガニを良くみると、甲羅が同じサイズであっても、ハサミの大きいカニと小さいカニがいます。ハサミの小さいカニは、その後も脱皮し成長しますが、大きいカニはそれ以上脱皮しません。ハサミが大きくなるサイズには個体差があり、中にはコッペと同じようなサイズで脱皮しなくなる雄ガニもいます。水ガニは甲羅の大小に関係なく、雌ガニと交尾することができないため、未成熟といわれています。未成熟なカニを獲り過ぎないように、漁業者の皆さんは自主的に水ガニの漁期を短縮、漁獲できる甲羅のサイズを引上げるなど、資源管理に努めています。
京都府立海洋センター主任研究員 山﨑 淳
(平成20年2月20日、京都新聞掲載)
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