ここから本文です。
丹後の海では、毎年春から初夏にかけて大型のクロマグロがやって来ます。時には、体重が100キロを超えるような大物が獲れることもあり、高値で取引されるクロマグロは定置網漁業における貴重な資源です。また、晩秋から冬には体長30~50センチに成長したクロマグロの若魚も漁獲されます。市場に並ぶクロマグロの姿は、小さくてもやはり存在感があります。ところで一昨年の夏に、体長10センチ程度のクロマグロ稚魚(写真)が定置網に入っていました。数は非常に少なかったのですが、このようなふ化後2ヶ月程度の稚魚を沿岸域で見かけるのは珍しいことです。
クロマグロの産卵場は、南西諸島水域及び日本海とされていますが、日本海での産卵実態は謎が多く、仔稚魚もあまり採集されていません。近年、国際社会では、クロマグロの資源管理に高い関心が集まっており、最大のマグロ消費国である日本は、管理方策や調査研究の強化を図ることとしています。その一環として、現在、日本海において仔稚魚の分布調査が行われおり、日本海生まれのクロマグロの生態解明が期待されます。
(平成24年1月4日 戸嶋 孝)
お問い合わせ