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クロアワビの雄と雌の見分け方をご存知でしょうか。この種の性別は生殖腺の色で見分けることができます。白色は雄(写真右)、緑色は雌です(写真左)。生殖腺は、卵や精子を作る器官であり、産卵期には俗に言う「肝」の周りを取り囲むように発達します。
アワビの仲間は、環境の変化を感じて一斉に放卵放精することが知られています。クロアワビは水温の変化や低気圧による時化を感じて産卵するようです。産卵量は大きい個体ほど多く、殻長10cmの個体は147万粒もの卵を放出します。
一方、アワビ類の受精には高濃度の精子が必要であり、親貝が約2m離れるだけで受精率は50%以下になるとも言われています。そのため、親貝密度の低下は、産卵量だけでなく稚貝の発生量も減少させると考えられています。
京都府立海洋センター技師 山本圭吾
(平成21年3月6日、京都新聞掲載)
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