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海洋センターでは、富栄養化が進行しつつある天橋立西側の「阿蘇海」で、植生を把握するために潜水調査を行っています。昔は魚介類のゆりかごとなるアマモが広い範囲に繁茂していたと言われている阿蘇海ですが、現在ではアマモに代わり、ホンダワラ類などの海藻が堆積したカキ殻に付着して繁茂していることが分かってきました。
そんな調査の中で、何らかの生物に口元を刺された潜水者が後に全身の痛みを訴え出るという事件がありました。この生物の正体は「カギノテクラゲ」でした。カギノテクラゲは直径1cm前後の小さなクラゲで、春から夏に海藻(草)上に生息します。刺されると神経毒により体のいたる所がチクチクと痛み、重症の場合には呼吸が困難になります。このクラゲは阿蘇海の藻場で特に多いようですが、京都府沿岸の数カ所の藻場でも見つかっているため、春から夏にはうかつに素手で海藻に触れることのないようにご注意ください。
(増殖担当)
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