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ズワイガニの甲羅に長さ10センチほどのミミズのような生き物が付いていることがあります。これがカニビルです。
普段は泥の中で生活し、魚の体液を吸って成長します。カニの甲羅に付くのは卵を産むためで、カニには全く害はありません。カニビルが棲む海底は泥に覆われ、適当な産卵場所がないことから、格好の場所となったのがカニの甲羅というわけです。また、カニはあちらこちらに移動するため、カニビルにとっては自分達の生活範囲を広げることができます。
甲羅に付いている黒い粒が卵で、一般にカニが脱皮してからの月日が長くなるほどその数が多くなります。甲羅に付く卵の数は、カニの身入りの良しあしを判断するバロメータとなっています。
京都府立海洋センター主任研究員 山﨑 淳
(平成18年10月25日、京都新聞掲載)
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