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丹後の山々が雪で白く覆われ、空気がピンと張りつめるくらい寒くなると、イワノリ摘みの季節です。北西の季節風によるしけの合間の穏やかな日に、漁村の女性たちが総出でノリ摘みをします。
イワノリは、細長いササの葉状の海藻で、岩についているのをアワビの殻などでこそぎ落として集めます。その後、冷たい海水の中でごみを取って何度もさらし、細かく刻んだものを紙すきの要領で板状に仕上げます。
こうして作られたイワノリはとても香りと歯触りがよく、一度味わうと他のノリが食べられなくなるほどです。
漁村の主婦たちはふるさとの香りを届けようと、都会で働く子供たちにイワノリを送ります。磯の香りでいっぱいの母からの贈り物です。
京都府立海洋センター主任 井谷匡志(現在、京都府水産事務所)
(平成16年12月8日、京都新聞掲載)
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