ここから本文です。
北海道から九州にかけて広く生息している魚で、体型は細長く、顔も下顎が突き出たシャープな形をしています。地方によっては小さなものをコウナゴ、大きくなったものをオオナゴやカマスゴと呼びます。
丹後の海では、定置網で少量が混獲される程度ですが、瀬戸内海や伊勢湾では重要な漁業資源となっており、稚魚を中心に船曳き網で漁獲しています。近年は漁獲量が減少しており、厳しい資源管理のもと、漁業が行われています。
この魚は、夏休みを取る、なんとも不思議な習性をもっており、水温が18~19度以上になると、砂に潜って動かなくなります。この習性を冬眠ならぬ夏眠といいます。夏眠している間は餌を食べずに体に蓄えた脂肪を使って生き延び、秋になり水温が低下すると再び活動を開始します。
ちりめんじゃこや佃煮にしたクギ煮が有名なように、イカナゴは小さいものほど価値があります。大きくなったものも空揚げや天ぷらでいただけますが、食用よりも養殖魚の餌として利用されることが多いようです。
京都府立海洋センター技師 白藤徳夫
(平成19年8月8日、京都新聞掲載)
お問い合わせ