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ハオコゼはカサゴ目に属する全長10センチ以下の小さな魚で、本州中部以南の沿岸に分布しています。主に波の穏やかな岩礁域や藻場に棲息し、警戒心が少なく泳ぎも緩慢なことから、磯遊びなどで簡単に捕まえることができます。大きく派手な胸鰭を動かしてのんびりと泳ぐ様子がかわいらしいことから、最近ではペットショップでも見かけます。ハオコゼの名前の由来は、枯れ葉の様なオコゼ(葉虎魚)と言われています。しかし、小さくても背鰭等に強い毒を持っていますので、取り扱いには細心の注意が必要です。ハオコゼに刺されると、刺された部位にもよりますが、大人でも数時間から数日間、強い痛みが続くことがあります。ハオコゼの毒の主成分はタンパク質であることから、火傷をしない程度の熱めのお湯に患部を入れ、毒の成分を変成させれば痛みが早く取れるようです。
丹後地方では、早春に定置網で大量のハオコゼが混獲されることがありますが、可食部が少ないことから食材として利用されることはありません。
京都府立海洋センター主任 田中雅幸
(平成19年6月20日、京都新聞掲載)
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