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大変なじみのある貝ですが、国産のハマグリが絶滅の危機に瀕していることはあまり知られていません。現在流通するそのほとんどが輸入物のシナハマグリで、外見からはハマグリと区別するのは困難です。
ハマグリが生息する河口の干潟は、埋め立てなど人間活動の影響を特に受けやすく、その消失等が資源減少の原因と考えられています。さらに追い討ちをかけたのが、近縁種シナハマグリの放流で、交雑により、純粋なハマグリはすでに消失したのではないかとも言われています。
丹後では今でも、野田川と佐野谷川の河口で少量ながら漁獲されています。純粋な丹後のハマグリがその中に残っていてほしいのですが、残念ながらどちらも、府外からの種苗を放流した歴史を持ちます。
京都府立海洋センター主任研究員 藤原正夢
(平成20年12月5日、京都新聞掲載)
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