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アカウニは暗がりを好むのか、長く伸びたホンダワラ類を石の裏まで引き込んで食べている姿を良く目にします。棘の色は、その名の通りの赤色だけでなく、ピンク色、薄紫色と多彩です。
京都府での産卵時期は10~11月で、産卵期前の7~8月頃に身入り、味ともに最も良くなります。その時期に合わせ、京丹後市沿岸などで漁獲され、殻付きのまま出荷されています。殻を割ると、殻の内側に沿って鮮やかな山吹色をした身(卵巣か精巣)が五つ入っています。口に入れると、甘みが強く、臭みやえぐみはほとんどありません。
府内のアカウニの漁獲量は少なく、今は未利用に近い磯の食材です。夏の丹後の名物になりうる有望株だけに惜しい気がします。
京都府立海洋センター主任 西垣 友和
(平成20年7月9日、京都新聞掲載)
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