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何と愉快な名前でしょう。狸が茶釜に化ける有名な昔話を思い出します。棘だらけの姿からもお分かりのとおり、ウニの仲間で、岩場のウニとは対照的に幅広い水深帯の砂泥底に住んでいます。
ブンブクやウニは、ナマコやヒトデと同じ棘皮動物の仲間。これらの体は五角形を基本にデザインされ、「五放射状体制」と呼ばれます。五本足のヒトデは大変分かりやすい例ですが、ウニやブンブクの場合も、死に殻となり棘が抜け落ちると、明瞭な五放射状のマークが現れます。
食用でないため、底びき網の漁師さんにとっては邪魔者で。私達にも馴染薄。しかし、このような生き物も、多様な生命を育む海の魅力を我々に伝える貴重な存在。ブンブクの殻も見れば中々の造形美で、素敵なオブジェに見えなくもありません。
京都府立海洋センター 主任 今西裕一
(平成18年1月11日、京都新聞掲載)
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