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冬の岩礁の裏側にそっと潜むアワビ、海中が暗くなり、餌の海藻をあさる時間をじっと待っているかのようです。夜行性のアワビ(クロアワビ)は暗がりがお好き。夜になると、餌を求めて、滑るように海底を動き回ります。その動くスピードは、昼間の岩礁にへばり付いている姿からは想像できないほどの早さです。
丹後の海では、アワビの産卵期である9月~11月は禁漁です。12月から解禁ですから、カニと同様、冬の味覚でしょうか。コリコリとした食感が堪らなく、噛めば甘味がでてきます。
ご存じのように、高級食材なので、我々庶民の口にはなかなか入らない代物ですが、平成16年頃から京都府沿岸で漁獲されるアワビが増加傾向なのです。ひょっとすると、アワビを食する機会が増えるかもしれません。府栽培漁業センターで育成される健康なアワビの子供をたくさん府下沿岸に放流している効果でしょう。
京都府立海洋センター海洋生物部長 中津川俊雄
(平成16年1月19日、京都新聞掲載)
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