メンタル不調者のリワーク支援(京都障害者職業センター)
京都障害者職業センターでは、障害のある方への専門的な職業リハビリテーションサービスに加え、メンタル不調により休職されている方へリワーク支援も実施しています。同センターの障害者職業カウンセラーの横峯様に事例とその取組を紹介していただきました。
Aさん(うつ病、30代男性)の事例をもとにリワーク支援の流れ(STEP1~4)を紹介します
Aさんは、入社して10数年、ソフト開発エンジニアとして勤務してきました。忙しいながらも、難しい案件をやり遂げることに楽しさも感じていました。人事異動に伴い、部署が変わります。同時にグループ長に昇進し、仕事も人間関係も初めてのことばかりです。慣れない仕事のせいで、残業が続きました。
ある日、布団から起き上がることができず、そのまま仕事を休みました。次の日も、次の日も・・・。鉛のように重い体を引きずって、近くの病院へ行くと、メンタルクリニックを紹介されました。「うつ病ですね。仕事は休んでください」と医師から告げられます。え?まさか。自分がうつ病になるなんて・・・。
休職して4か月後、産業医から勧められて、Aさんはリワーク支援に行きました。
- STEP1 説明会・事前相談(週1回×1か月)
<生活リズムなど回復状況をアセスメントする>
リワーク支援プログラムについての説明会の後、事前相談では生活記録票の記入や心理検査を行い、復職に向けての活動に負担がないか確認をします。
- STEP2 リワークセミナー(週2回から3回×1か月)
<ストレスマネジメントの基礎知識を学び、活動量を増やす>
リワークセミナーに参加し徐々に活動量をアップします。並行して、カウンセラーが、個別の目標・支援内容が書かれた支援計画案を策定し、Aさん・主治医・事業所と打ち合わせを行いました。何に取り組むか、明確にした上でSTEP3に進みます。
- STEP3 本支援(週5回×標準3か月)
<作業課題を通じ、集中力・持続力・パフォーマンスの回復に取り組む>
<休職要因の分析と再発予防策について、個々に取り組む>
本支援は、個々の目標・課題に応じた取組みとなります。
参考として、カウンセリングの一場面をご紹介します。
カウンセラー:「休職前、自覚症状やストレスサインはありましたか?」
Aさん:「それが、特になくて。ある日突然、布団から起き上がれなくなって・・・」
(解説)Aさんはストレスに気づきにくいタイプのようでした。そのため、「寒かったら上着を着る」というように「ストレスサインが出ていたら、対処する」ということができませんでした。休職前の状態を振り返り、ストレスサインと対処法を洗い出しました。
カウンセラー:「元の部署に戻る予定ですね。残業は少なくしたいですね」
Aさん:「でも、後輩も忙しくしているから頼めないし。部長は個々の案件は把握していないから、自分がやらないと・・・」
カウンセラー:「Aさん、考え方の癖がでていませんか。休職前のAさんがあなたの大切な友人だったら、何と声かけますか?」
(解説)Aさんは、とても真面目で責任感が強いタイプのようです。「後輩には迷惑をかけない」「グループ長は自分。自分がやるべき」という考えは一見正しいようですが・・・。Aさんの困りごとを休職者同士のグループワークのテーマに取り上げると、メンバーから、「上司に分担を相談してみたら?」「先輩後輩に関わらず、詳しい人に聞けばいい」などの意見が出ました。同じ休職者の立場であるメンバーの意見は、Aさんにとって受け入れやすく、考え方の幅が広がったようです。
<事業所にて、リワーク支援報告会>
Aさん自身で作成したレポートに沿って事業所担当者に報告し、職場復帰に向けた課題共有を行います。
Aさん:「休職要因として、部署替えや昇進はきっかけではあったが、根っこは『自分ですべき』と強く思い込み、仕事を抱え込んでしまったこと。ストレスサインに早めに気づいて、上司に相談するなど対処策を実行していきたいこと。自分ではストレスと気づきにくい時もあるので、『表情が硬い』『話がまとまらない』などの兆候があれば、声掛けいただくなど配慮をお願いしたい」
事業所担当者:Aさんの状況がよく分かった。配慮事項について上司や人事担当者で共有したい」
- STEP4 職場復帰・フォローアップ相談
Aさんは報告会の1か月後、職場復帰をしました。継続勤務のために、数か月間はフォローアップ相談を続けていく予定です。
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注※プライバシー保護のため一部の文章について事実を再構成しています。
<参考>リワーク支援を活用するには
80%。これはリワーク支援を利用された方の職場復帰率の数字です。ただし、職場復帰がゴールではありません。リワーク支援において、再発予防は重要なテーマです。休職を繰り返すことは、ご本人や事業所にとっても大きな損失です。再休職のリスクを回避するためにもリワーク支援を活用してみませんか。
京都障害者職業センターでは、復職を目指すご本人と、事業所、主治医の合意のもと、支援を行います。利用希望の方は、まず説明会(月2回実施)にご参加ください。
詳しくは、「京都障害者職業センターホームページ(外部リンク)」をご覧いただくか、京都障害者職業センターまでお電話にてお問い合わせください。
リワーク支援のお問い合わせ先
京都障害者職業センター
相談時間 月曜~金曜/8時45分~17時(土曜・日曜・祝日、年末年始休み)
電話:075-341-2666
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京都障害者雇用企業サポートセンター
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