京都市域地域医療構想調整会議(第2回)(平成28年5月30日開催)の審議概要
開催日時
平成28年5月30日(月曜日)13時00分から14時50分まで
開催場所
京都ガーデンパレス2階
出席委員
出席者名簿のとおり(18名)
審議の概要
(1) 第2回地域医療構想策定部会の開催状況について
事務局から、構想区域及び府県間の調整方法について、資料1及び資料2により説明
(2) 地域医療構想策定に係る取り組み状況について
事務局から、入院患者実態調査及び各病院との意見交換結果について、資料3及び資料4により、説明
主な発言
- 療養病床入院患者の医療区分1の70%相当の方を在宅で対応することについては不可能とのことであるが、どのように対応するのか。
- 資料3の2(7)で、介護療養病床の入院患者のうち医療区分1の方の割合が全国平均よりかなり高いが、どのように分析しているか。
- 2025年における在宅対応が可能かどうかという議論をする前に、在宅の定義を明確にしておく必要がある。どのような形態の施設をどの程度整備するのかによって、可能かどうかの判断は変わってくる。府はどのような整備計画を持っているのか。
- 地域医療構想における「在宅等」には特養は含まれていないため、ヒアリングの際にも特養は含まない旨の説明をした方が、より正確な数字が出たのではないかと思う。
- 資料3の2(6)で、平均値ではなく中央値を採用した理由は何か。
- 休床中の病床については今後どのような対応をしていくつもりか。
- ヒアリング調査は全病院に実施したのか。
- 病床利用率について、国の示す基準とアンケート調査による実態とで若干の差がある。この差を今後どのように考えるつもりか。
- 休床中の病床は、病床機能報告ではどのような形で報告されるのか。
- アンケート調査の中に、「歯科情報の共有」の必要性に関する項目があるが、唐突な感がある。どのような経過で採用されたのか。
(3) 将来の在宅医療等と医療提供体制について
事務局から、資料5により、説明
医師会から、医師会作成資料により、説明
医師会説明要旨
- 医師会の実施したアンケートによると、10年後の在宅医療対応可能数は、23,000人/日であり、将来の在宅の医療需要予測30,000人/日と比較すると7,000人/日の不足が生じる。
- 将来、在宅の医療需要に見込むこととなる医療区分1の患者等は、ADL区分が高かったり、認知症の問題を抱えていたりして、もともと在宅で対応することが難しい方が多い。看取りの問題もあり、在宅医療体制をかなり強化していかないと対応は困難である。
- 在宅対応は、医療面だけでなく、生活環境が整って初めて成り立つもの。
- 国の示すビジョンの実現は非常に無理があると考えている。数値を精査し、計画策定に当たっては慎重に進めていただきたい。
主な発言
- 薬剤師会も将来の在宅医療に関わっていくこととなるが、件数的にも内容的にもどのような対応をしていけばよいのか分からない部分が多い。地域包括ケアの観点からどのような取り組みが必要になるのかの議論を進めていただきたい。
- 在宅医療は訪問医療と訪問看護だけでは成り立たない。訪問介護が必須であるが、介護士の確保に向けてどのような取り組みを行っているか。
- 療養病床入院患者における医療区分1の方の在宅対応について、76%の病院が不可能と回答しているが、そもそも在宅で対応できない方が入院しているのであり、国もそういった方たちを施設ではなく自宅で対応することまでは想定していないと思う。
介護福祉士の養成校は以前は、4年制大学を含めて京都市内に10校あったが、現在は4校に減っている上、1校当たりの定員も減少傾向にある。今後は、高校への働きかけなど入学前における取り組みや、キャリアアップを目指す方たちへの支援も必要と考えており、基金の配分に当たっては、そのような視点からの検討をお願いしたい。
医療や介護の内容は日進月歩で進化しており、その辺りの変化も見据えながら、計画策定を進めていただきたい。
- 今後は看取りも医療面で重要な位置を占めていくことになると思うが、どうか。
- 老健は医療施設であり、入所者の医療はすべて自ら賄っていると認識している。また、特養も医務室が必置であり嘱託医師が週3回程度診療を行っていることから、老健、特養いずれも歯科を除けば往診の機会は極めて少なく、将来の在宅需要から除外しても差し支えないと考えるが、府老健協、市老協の見解はどうか。
- 特養の場合、嘱託医のほとんどが内科の医師であり、内科の医師の訪問診療は認められていないのが実態である。歯科、皮膚科の訪問診療はよくある。
なお、小さい施設ほど、内科を含めたすべての診療科目における訪問診療と訪問看護をオープンにしてほしいという要望が強い。
- 老健の場合、歯科の訪問診療は増えてきているが、それ以外の診療科の訪問診療はほとんどない。
- 国の推計値と実態調査結果の間で数値の乖離があるため、慎重に分析していく必要がある。
在宅医療の必要性は確実に増していくので、質、量とも充実させていかないといけない。また、看取りについても本人や家族の意志を確認する際に医師が積極的かつ丁寧に関わっていく必要があり、その労力も見込んでおく必要がある。
- 高度急性期と急性期の区分が明確でない状態のまま、それぞれの病床数が決まろう としている。病院ごとではなく、二次医療圏単位でそれぞれの医療区分別の病床がどれだけ必要かという形の議論になればありがたい。
- 高度急性期の病床をかなり削減する形の資料が配付されているが、国の推計値は信頼性に疑問があるので、無理やりこの数字に当てはめることのないようにしてほしい。
府の実態調査結果でも、高度急性期の病床利用率は国の示す目安より高いという結果が出ている。これは府内の高度急性期病棟の必要性が高いということであり、それを無理やり減らすことのないようにしてほしい。
- 今後の医療の進歩により医療需要は大きく変化するため、必要病床数は「目標」ではなく「現時点における目安」であるという共通認識を全員が持つ必要がある。
全員がそのスタンスに立てるのであれば、府の作成する計画に異論は出ないと思う。
- 高度急性期に携わる病院として、患者の退院を見据え、在宅医療の現場の実態をもっと把握していく必要があると感じており、在宅医療に携わる方とコミニュケーションを図る機会をもっと積極的に持ちたいと考えている。
配付資料