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カワゲラは、幼虫の期間を水中で過ごし、成虫になると水中から飛びたちます。水生昆虫の多くは春に羽化しますが、カワゲラの中には、冬に成虫になって、雪の上を歩き回る変わりものも知られています。河川、特にきれいな河川では、色々な種類のカワゲラの幼虫が暮らしています。今回は、京都府の河川でよくみつかるカワゲラの幼虫を紹介します。
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京都府の水生昆虫(カワゲラ)(PDF:1,768KB)
カワゲラの体は、「頭部」、「胸部」、「腹部」の3つからなります。
「頭部」には複眼、単眼、触覚、口があります。胸部は前胸、中胸、後胸の3つからなり、それぞれに1対の肢があります。また、中胸と後胸には翅芽(しが)(成虫になった時に翅になる部位)がありますが、これは若い幼虫では目立ちません。「腹部」は10個の節からなり、鰓(えら)と尾毛があります。
カワゲラの口は、上唇、舌、大顎、小顎、下唇の5つのパーツからなります。みつけたカワゲラの名前を調べるためには、各パーツを顕微鏡で観察しなければならないこともあります。例えば、下の写真のカワゲラ科では、側舌が中舌より大きいという特徴があります。
カワゲラによっては、肢の付け根や首に鰓をもつものがいます。鰓の形や位置は種類によって特徴がありますので、みつけたカゲロウの鰓を観察することは、その名前を調べるのに役立ちます。例えば、下の写真のカワゲラ科では、肢の付け根に糸状の鰓をもっています。
カワゲラの肢は、基節(きせつ)、転節(てんせつ)、腿節(たいせつ)、脛節(けいせつ)、跗節(ふせつ)、爪の6つのパーツからなります。跗節は3節からなっていて、付け根から、第1跗節、第2跗節、第3跗節といいます。
カワゲラと同じく、きれいな河川でよくみつかる生き物に、カゲロウがいます。カワゲラやカゲロウを見慣れていないうちは、両者を見間違えやすいのですが、肢に注目すると、カワゲラの爪は2個であるのに対して、カゲロウの爪は1個であるという違いに気づきます。カワゲラ、カゲロウに限ったことではありませんが、こうした小さな、あるいは、大きな違いを1つ1つ認識し、経験を積み重ねていくと、肉眼でさっとみるだけでも、その生き物の名前が分かることがあります。
みつけたカワゲラの生態を知るには、まず、名前を調べなくてはなりません。カワゲラに限らず生物は、「界・門・綱・目・科・属・種」からなる階級に基づく分類がされていて、界から種へと下の階級に進むにつれ、体の形などが似たグループがまとめられています。
カワゲラの幼虫について、属あるいは種まで名前を調べることは非常に難しいですが、科までであれば、肉眼やルーペで名前を調べることができるものも多いです。
次のページからは、京都府の河川でよくみつかるカワゲラを科ごとに紹介します。
(1)アミメカワゲラ科 | (2)オナシカワゲラ科 | (3)カワゲラ科 |
(4)クロカワゲラ科 | (5)シタカワゲラ科 |
(6)ヒロムネカワゲラ科 |
(7)ミドリカワゲラ科 |
特徴
1.側舌は中舌より大きい。
2.側舌は三日月形。
3.肢の付け根に鰓がない。
メモ:春に羽化する種が多い。
特徴
1.側舌と中舌はほぼ同じ長さ。
2.後胸の翅芽は外側に張り出す。
3.腹部は短い(後肢を伸ばすと先端が腹部末端にとどく)。
メモ:体から粘液を出して砂粒などをつけている(左下)。
また、首の付け根に糸状(右下)や指状の鰓をもつものがいる。
特徴
1.側舌は中舌より大きい。
2.側舌は球状にふくらむ。
3.肢の付け根に糸状の鰓がある。
メモ:比較的大型のカワゲラ。2~3年かけて成虫になる種もいる。
特徴
1.側舌と中舌はほぼ同じ長さ。
2.後胸の翅芽は外側に張り出さない。
3.腹部は長い(後肢を伸ばすと先端が腹部末端にとどかない)。
4.腹部第8、9節の腹板と背板は分かれる。
メモ:幼虫は夏眠することが知られており、秋から冬の限られた期間のみ採集することができる。
成虫は冬から春に現れる。
特徴
1.各肢の第1跗節と第2跗節はほとんど同じ長さ。
2.腹部第9節の腹板は舌状に伸びる。
メモ:幼虫は夏眠することが知られており、秋から冬の限られた期間のみ採集することができる。
成虫は冬から春に現れる。
特徴
1.体が幅広くゴキブリに似ている。
特徴
1.側舌は中舌より大きい。
2.側舌は細長く中舌とほぼ平行。
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