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たんたんで働く【舞鶴】「海が身近にある生活をしていたから、子どもの頃から海の仕事をしたかったんです」京都府漁業協同組合・坂野良太さん


この記事は2019年2月1日、WEBサイト「わかもん~京都でつながる!動きだす!~」(https://wakamon.link/)で公開したものです。

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今回は、京都府漁業協同組合(本所)の坂野良太(さかのりょうた)さんに、お話をお伺いしました。

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(プロフィール)

京都府漁業協同組合(本所)坂野良太さん

1989年生まれ。宮津市出身。子どもの頃から憧れていた海の仕事に就きたいと、大学は東京にある海洋大学へ進学。大手飲食チェーンでエリアマネージャーとして働いた後、京都府北部へUターン。京都府漁業協同組合の販売部門で働きながら、休日は趣味の釣りを楽しんでいます。

漁協って何をしているの?

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きっと誰もが一度はその名を聞いたことがある、漁協。しかし実際に漁協がどんな仕事をしているのか、説明できる人は意外と少ないかもしれません。

坂野さんが働くのは、京都府漁業協同組合。坂野さんが在籍する本所を中心に、舞鶴・宮津・間人・網野に卸売市場そして9つの支所を設け、漁業発展のための幅広い事業を行なっています。

メインは販売事業。組合員である漁師さんがその日水揚げした水産物を卸売市場でセリにかけて販売したり、加工品の製造・販売をしたりしています。坂野さんは、花形であるこの販売事業に所属。入組時から漁師さんと仲卸業者の間に立ち、水産物を届けてきました。

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漁協では、坂野さんが携わるような販売事業の他にも、漁業に必要な資材や機器、燃料を供給する購買事業。漁師さんの技術向上や水産資源の増殖・保護に取り組む指導事業。ほかにも、製氷冷蔵事業や共済事業など、組合員のみなさんが安心して漁業に従事できるような仕組みを提供しています。

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求められているのは、組合員の収入アップ

ひと昔前に比べて、漁獲量の減少や後継者不足、消費者の魚離れが進み、漁協の役割も少しずつ変わってきています。特に今、漁協に求めらているのは、組合員の収入アップ!漁師が儲かる仕事であれば、漁師を目指す若者も増えて後継者不足も解消されると考えているからです。

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そこで漁協では、水産物のブランド化に着手。みなさんも目にしたことがあるかもしれない「丹後ぐじ」、「丹後とり貝」、「京鰆」などのブランド化に取り組みました。

京都から大阪、東京など全国へ水産物を届けるほか、海外への輸出、百貨店やスーパーに加工品を販売する直販事業を進めるなど、漁協の役割は時代を追うごとに多様になっています。

それでは坂野さんに、漁協に就職した理由や仕事内容、京都府北部で働く魅力ついてお伺いしましょう!

子どもの頃から海の仕事をしたかった

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−−本日はよろしくお願いします。坂野さんは、宮津出身ですよね。ずっと京都府北部に住んでいるのでしょうか?

坂野:いえ、僕は宮津高校を卒業して東京にある海洋大学へ進学しました。子どもの頃から海が身近にある生活をしていたので、海の仕事がしたいと思っていたんです。父は50歳の時に仕事を辞めて、漁師になりました。よく釣りにも連れて行ってもらったので、自然と海に惹かれていましたね。

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−−大学ではどのようなことを学ばれたのでしょうか?

坂野:研究室では、魚群制御学を研究しました。イカを集めるための集魚灯についての研究で、LEDを使って何色がイカを集めるのに効果的かを調査しました。

 

−−専門的ですね!就職先はどのように決められたのですか?やはり海関係が軸にあったのでしょうか?

坂野:新卒で就職した会社は、実は海と全く関係がなくて。大手牛丼チェーンなんです。子どもの頃から海の仕事をしたいと思ってはいましたが、将来の姿がぼんやりとしか見えていなかったので、とりあえず大きな企業に入って揉まれてみたいなと。就職先に迷っていた時に、たまたま先輩が「うち受けたら?」と言ってくれて、運よく受かったのでそのまま入社しました。

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−−魚から肉とは扱うものが全然違いますね。

坂野:大手牛丼チェーンには約2年勤めました。その間、4〜5店舗を統括するエリアマネージャーとして、マネジメントも経験しました。でも毎日牛丼を盛るなかで、「これは違うな」って思いました。ただ社会人としての基礎や効率よく仕事を進める仕組みを学べたことは、良かったです。

 

−−今の仕事に出会ったきっかけは何でしょうか?

坂野:やっぱり海に関わる仕事がしたいと退職を検討していた時に、神戸に住む兄から神戸市漁協のアルバイトを紹介されました。そこでは、4ヶ月ほど働きました。正社員になることも考えはじめた頃に、京都府漁業協同組合を紹介されて。紹介してくれたのは、小さい頃からお世話になっていた方だったというのもあり、せっかくなら地元で働きたいと京都府北部にU-ターンしました。

花形業務、セリを任される職員に

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−−Uターンから5年が経ちました。今、坂野さんはどのような仕事をされているのでしょうか?

坂野:組合員の漁師さんが船やトラックで市場に持ってくる魚を市場に並べる荷受業務と仲買人相手に販売をするセリ業務、そして買い付けした水産物を東京や大阪、名古屋の中央市場に卸す出荷業務があります。

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−−先ほどセリを見させていただきましたが、活気があってかっこよかったです!

坂野:ありがとうございます。舞鶴のセリは特徴的なんですよ。一般的なセリは、せり上げ方式といって100円、200円とどんどん価格が高くなります。でもうちの漁協の中でも舞鶴と宮津では、一発ぜり方式を採用しています。この辺りは漁獲量が多いので、せり上げ方式だとセリが終わらない(笑)だから一発ぜり方式で、勝負は一回きり、一番高い値をつけた人が買う仕組みになっているんです。

 

−−そうなんですね。セリをする時に大切にしていることはありますか?

坂野:グダグダとセリをすると良い値が付きにくくなってしまうので、キビキビと終わらせるようにしています。また、仲買人があまりに安く買おうとすると、セリをストップして仲買人を怒ることもありますね。「漁師が気張って獲ってくるのに、何しとるんや!」って。

 

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−−水産物を仕入れて捌くだけではなく、ときには仲買人を指導することもあるんですね。

坂野:そうですね。漁師が命がけで獲ってきた魚を並べてセリにかけさせてもらうので、僕たちはどちらかというと生産者寄りであるべきだと思うんです。

 

−−出荷業務ではどのような役割を果たしているのでしょうか?

坂野:買い付けた魚を少しでも高く売れるように考えて、仕組みづくりをしています。例えば、底引き網で獲れる赤ガレイ。今までは氷でシメて出荷していたのですが、活かして出荷する方法を研究して、出荷できるようになりました。もともと煮付けでしか食べられず低単価でしたが、活かして出荷することで刺身として食べてもらえるようになり単価が上がりました。

漁師さんの手取りが増え、僕たちも手数料収入が増える、そうした商品開発を心がけています。

休みの日も海を満喫!

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−−やりがいを感じながら仕事に取り組まれている様子が伝わってきました!休日はどのように過ごされていますか?

坂野:自分の船を持っているので、釣りへ行くことが多いです。高校生のときに、船舶免許を取得したんです。蛸壺を仕掛けて、蛸をとることもあります。

 

−−休日も海と関わっているんですね。

坂野:僕の最終目標は、漁師になること。将来は、宮津で漁師として魚を獲りたいです。

 

−−最後に学生に向けてメッセージをください!

坂野:学生のうちに先輩にたくさん話を聞いてください。どんな仕事をしているのか、どんな働き方をしているのか、僕ももっと知ろうとしたらよかったなと思います。海の仕事がしたいと思いながら、将来をぼんやりとしか描けていなかったのは、どんな仕事があってどういう人が働いているのか知らなかったからだと思うんです。

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海に関わる仕事をしたいーー。子どもの頃から描いていた夢を、漁協職員となって叶えた坂野さん。しかし、まっすぐにその夢に向かって突き進んできたわけではなく、ときに立ち止まり、ときに遠回りしながら、今の仕事に就いたことを教えてくれました。

人生にはときに回り道に思えることも起こるけれど、自分のありたい姿を見失わずにいられたら、さまざまな経験を糧に望む方に進んでいける。坂野さんのお話から、そんなことを思いました。

 

京都府漁業協同組合

http://www.ktgyokyo.jf-net.ne.jp/(外部リンク)

 

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