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たんたんで働く【綾部】「どこで暮らすかよりも、まずは自分がやりたいことができる環境を選びました。」日東精工株式会社・大塚康平さん

 
この記事は2018年1月15日、WEBサイト「わかもん 京都でつながる!動きだす!」(https://wakamon.link/)で公開したものです。

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今回は綾部市に本社を構える「日東精工株式会社」の産機事業部で働く、大塚康平(おおつか こうへい)さんにお話を伺いました。

日東精工株式会社/大塚康平さん(2014年入社):1991年生まれ。広島県福山市出身。中学・高校は隣接する岡山県の学校へ通い、大学進学とともに滋賀県へ。龍谷大学 理工学部 機械システム工学科で機械設計を学び、就職を機に綾部市へIターン。入社3年半が経過し、話し言葉が少しずつ 綾部ならではのイントネーションに近づいてきた。

綾部市から「100年企業」を目指す、日東精工株式会社。

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1938年に創業した日東精工株式会社。

ねじやねじ締め機、計測・検査装置などの開発設計から、製造、販売まで全てを行う会社です。

事業内容は主に 工業用ファスナー(ねじ)や冷間圧造部品をつくる「ファスナー事業部」、自動ねじ締め機やねじ締めロボットをつくる「産機事業部」、流量計や地盤調査機をつくる「制御システム事業部」という3つに分かれており、大塚さんは産機事業部で設計を担当しています。

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▲ファスナー事業の60周年を記念し復刻された初代ねじ製造用加工機。(ヘッディングマシン)

 

日東精工はこれまで9万種類以上のねじをつくってきました。海外工場を含めると生産能力は月産22億本を超え、年間260億本ものねじを世界中に供給しています。

また、ねじ締め機は国内トップシェア、地盤調査機は国内シェアが90%以上を超えているなど、日本をはじめ 世界中のあらゆるものづくり産業を支えており、これから「100年企業」へ向けてさらに価値を高めつつ、若い技術者が活躍できる会社を目指しておられるそう。

そんな日東精工で若手技術者として働く大塚さんに、大学時代のことや就職活動のこと、入社後の心境などをお伺いしました。

「ロボットの設計がしたい」その一心でここまできました。

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▲高精度なねじの締め付けが可能な産機事業部の製品「KXドライバ」。

 

昔から「ものづくり」が好きだった大塚さん。

小さい頃はブロックで遊んだり、夏休みの工作を一生懸命取り組んだりするタイプだったそう。中学の頃から数学が得意だったこともあり、進路選択が迫られる高校2年生の頃には「将来はロボットの設計ができたらいいな」と思っていたのだとか。

龍谷大学 理工学部に入学後は、機械設計に必要なシステムやプログラミングを勉強。振り返ってみると課題が多く、1週間で提出する実験レポートは 多い時で200枚・少ない時でも数十枚と、とにかくレポート三昧の日々。コピー&ペーストを避けるため、全て手書きで提出しなければならなかったそう。

それでも、“どうせやるなら早い方がいい” と課題が出た日に徹夜で終わらせる大塚さん。空いた時間には、所属していた軽音サークルの活動や友達との寺社巡りなど、充実した学生生活を過ごしていました。

そして迎えた就職活動。大手就職サイトに登録し興味のある8社にエントリー。はじめに内定をもらったのが日東精工だったそう。現在のところ働いてからのギャップは少ないそうですが、「 “入社後どのように働いているか” というところまでは、あまり明確なイメージをもてていなかったかもしれません。」と就活時を振り返ります。

就職先を絞るにあたり、働く場所は都会であれ田舎であれ “ロボットの設計がしたい” という自身の気持ちを優先していた大塚さん。就職をきっかけに綾部市へ来たそうですが、大塚さんの話し言葉が度々 綾部ならではのイントネーションになっており、綾部での生活に馴染んでいる印象を受けました。

そんな大塚さんに、綾部暮らしの良さについて伺ってみると「とにかく地元野菜が安い!」という返答が。袋詰になった100円前後の地元野菜が「彩菜館(外部リンク)」やスーパーの地場野菜コーナーなどで手に入るのでおすすめだそうですよ。

時には失敗もありますが、様々な経験を通して少しずつ「仕事」を学んでいます。

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-本日はよろしくお願いいたします。まずはじめに、大塚さんの職場の雰囲気についてお聞かせください。

大塚さん(以下、大塚):職場はいい雰囲気ですよ。先輩方は、わたしの質問に対して何でも気さくに答えてくださいますし、ミスがあった時はフォローしてくださいます。

一度、納品直前に不具合が発覚したことがあったのですが、先輩方に修正すべき点の優先順位についてアドバイスをもらい、現場で加工をされている先輩に追加工を依頼しました。設計の先輩も加工現場の先輩も、困っているわたしの様子を見て優先的にサポートしてくださったのを覚えています。

-働かれて4年目、お仕事についてはいかがでしょうか?

大塚:入社1,2年目は “とにかく仕事をこなす” という感覚でしたね。組立や設計内部のことを学びつつ、次から次へとやってくる業務にひたむきに取り組んでいました。

3年目からは少しずつ「設計」の分野に携わりはじめました。わたしが担当している製品は、基本的な設計図があるので、それを元にお客様のニーズに合わせて修正をしています。ずっとやってみたかった仕事ではあるのですが、4年目に入り、自分自身が今の仕事を通して “どのようにステップアップしていくか” を考える時期にさしかかっています。

-なるほど。

大塚:これはおそらく、どこの会社であっても、誰であったとしても向き合う「壁」みたいなものだと思います。

わたし自身も今は、将来へ向けての基礎となる「知識」や「技術」を習得している最中です。設計件数はこなしているので、経験値がだんだん上がってきていることを感じますし、資格も取得しながら着実に、定量的にスキルアップを図っています。

同時に、少しずつではありますが、お客様からの問い合わせ内容に対して 自分の言葉で答えられるようになってきました。

-自分自身でも「変化」を感じられる瞬間なのではないでしょうか。

大塚:そうですね。自社以外にも、どんな企業がどんな製品をつくっているのかについて詳しくなりました。この仕事をしていると、お客様から問い合わせがあるため、担当しているねじ締め機以外の製品や技術、それをつくる企業など、業界について幅広く知る必要があります。例えば、車関係のお客様がつくっているモーターの種類や製品の仕組みを調べることもあるんですよ。

時には、お客様がねじを締めたい製品の素材、材料まで調べないと、自分の設計した製品が不具合を起こすこともあります。製品がどんな「ものづくり」に活かされているかをイメージし、様々な調査をした上で最適な設計をする。それが、良い製品を提供することに繋がっています。

また、職場には設計の際に使う 分厚い部品カタログを常に見ている “カタログマニア” の先輩がいて、彼がめちゃめちゃ詳しいんですよね(笑)。そういった先輩方の背中を見て、自分の興味の外枠にも興味関心をもちつつ、日々勉強をしています。

-もし大塚さんが「就職前の自分」にアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えられますか?

大塚:「資格」についてですかね。働き始めると、専門的な事柄や1つの分野について深く学ぶ機会が多くなります。幅広い知識や教養を学ぶ学生時代に資格取得へ向けて取り組めば、その知識は将来にも活きてくると思います。

-確かに、「資格」について触れられる方は多い気がします。大塚さんが現在、働く上で心がけておられることはありますか?

大塚:気になったらすぐに周りの人に聞くようにしています。「どこがわからないのか」がそもそもわからない、ということもありますし。はじめは質問することに少なからず “恥ずかしさ” や “抵抗” があったんですけど・・それを超えないと理解も深まらないので。

現在、綾部工業研修所(外部リンク)(※2)が主催する研修で、京都工芸繊維大学の先生から より専門的な技術者向けの知識を学んでいます。わたしは上級者コースに取り組んでいるのですが、初めて学ぶような内容もあります。

学生時代から質問するのはあまり得意な方ではなかったのですが、まずは何でもいいので質問をしてみると 少しずつ理解できていくんですよね。理解できると、頭の中で点と点の状態だった物事が結びつき、仕事に関するいろんな事象もわかるようになっていくのでおもしろいです。

(※2)綾部工業研修所・・1965年に日東精工が立ち上げ、綾部商工会議所が事務局を務める一般社団法人。

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-それでは最後に、大塚さんの今後の目標についてお聞かせください!

大塚:ねじ締め機の設計を、ゼロからやってみたいと思っています。自分で考えたアイデアをかたちにしていきたいですね! 少なくともこの3年間、それなりに数はこなしてきているので、いざという時の引き出しは増えていると感じています。

思い描く “これから” へ向けて、今は目に見えるところから取り組んでいこうと思います。現在は、お客様から返ってくる声に耳を傾けながら、組立担当のメンバーと改善班をつくって、少しずつ製品の改善などにも取り組んでいます。まずはそこからですね!

-大事なのはやはり 日々の積み重ねですよね。大塚さん、本日はありがとうございました!

「ロボットの設計がしたい!」と高校生の時に描いた夢を実現された大塚さん。仕事を通して生まれた次なる目標へ向けて、日々ひたむきにお仕事をされている様子が印象的でした。やりたい仕事に関われるのなら、とはじめて訪れた綾部市。たびたび、綾部ならではのイントネーションでお話される大塚さんに、「住めば都」ということばを思い出しました。

何事においても、まずは基礎を身につけることで、次に技術や知識を応用して活用できるようになります。日々の積み重ねの大切さを改めて考えるインタビューとなりました。

 

日東精工株式会社
https://www.nittoseiko.co.jp/

 

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