中丹広域振興局
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佐藤則子さん(写真右)からお話を伺いました。
国の「どぶろく特区」に認定される福知山市大江町に、日本一のどぶろくがあります。割烹さとうさんが醸造する「酒呑童子の里どぶろく鬼ババァー」。杜氏の佐藤則子さんにお話を聞いたところ、日本一になれた理由は「元気が出る」からだと教えていただきました。取材をする中で、ここには元気になるどぶろくを造る二つの材料があることが分かりました。(福知山公立大学2年 圷彩水)
どぶろくは米に麹などを加えて造る、白く濁ったお酒のことです。通常は、多く生産する酒造業者でないと造れませんが、大江町は2009年に内閣府から構造改革特別区域(特区)の認定を受け、酒税法上の特例により、どぶろく(濁り酒)を製造できるようになりました。佐藤さんは準備を整え2011年に製造免許を取得し、醸造を始めたそうです。毎年、全国どぶろく研究大会のコンテストに出品されていて、これまでに11回入賞、そのうち3回は日本一(最優秀賞)に輝かれました。
そんな、佐藤さんのどぶろくがおいしい理由。
まず一つ目は、材料であるお米と水です。
お米は、地元大江町毛原の棚田の上段でつくられたコシヒカリを使用されています。棚田は上段であるほど水がきれいで、おいしいお米ができます。また、酒米ではなく食用のコシヒカリを使用しているところも、こだわりのポイントだそうです。
二つ目は作り手の元気です。
佐藤さんは、「どぶろくには造る人の性格が出る」とおっしゃっていました。「造る人が元気なら、元気などぶろくになる」と、佐藤さん自身とてもパワフルで精力的な方でした。
原料のお米は、先に紹介したように、毛原の棚田で作られたコシヒカリを使用されています。酒米に比べ、粘り強く、雑味が出やすいですが、お米の恵みからもらう元気を使うために、コシヒカリを使用しているそうです。
狭い水田が急斜面に集まる棚田は、大型農機が使えず、手作業での稲作になります。佐藤さんはご自身で田植えをし、熱心に水田の世話をし、稲刈りもしています。大切に育ててきたお米を、その年ごとに微妙に違う特徴をつかみながら、どぶろくに仕込んでおられます。
仕込みに使う水も大事です。お米が育った大江の自然の恵みを受けた、宮川の伏流水を使われます。
どぶろくは場所や材料が一つでも変われば、同じものは造ることができないのだとか。その土地の空気、温度、材料、佐藤さんの元気が合わさって、日本一のどぶろくを造ることができます。
どぶろくの仕込み作業(c) kukurukoo byTMD.LLC
どぶろくはお米とお水を麹で発酵させてできます。精米したお米を蒸し、麹を混ぜます。低温を維持しながら毎日混ぜ続けます。仕込みは10月から3月末まで休みなし。担っているのは佐藤さんと夫・博行さんの、なんとたった2人です。お二人は飲食店の経営も同時に行っておられます。おいしいどぶろく造りには、夫婦の協力が欠かせません。
お米は博行さんが洗われます。おいしい料理を長年提供してきた腕を発揮。どんなに厳しい寒さの日でも、毎回同じ洗い上がりになるよう、心を込めてとぎ、氷水に浸してお米をしめていきます。
温度は毎日調べておられます。仕込みには長年の経験が大事ですが、科学的な数値も大事にし、分析装置を備えた検査室を設け、データを確認しながら醸造作業にあたられます。賞味期限はとても短く、繊細で貴重なお酒なのです。
検査室を設け、仕込むどぶろくを分析して品質の維持向上を図っておられます
実際に飲ませてもらった「鬼ババァ」は、香りと口当たりからお米の優しさを感じ、口の中にしっかり広がるどぶろくの味と、すっきりした後味がとてもおいしかったです。とくに、お米のふんわりした食感と優しい風味がマッチしていました。
どぶろくらしい濃芳醇が1本税込1760円。ブームで甘口の淡麗が2200円です。1シーズン3000本を仕込み、根強いファンが多いこともあって、毎年売り切れてしまうそうです。
販売は、まちおこしなどのイベント会場や電話でのみ。ネット通販は行っておられません。お客さんに現地に来てもらうことで、大江の良さを広めるためだとおっしゃていました。
「どぶろく鬼ババァー」という名前は、大江ならではのものです。源頼光の酒呑童子鬼退治伝説のまち大江では、鬼はとても身近な存在です。「商品名に『鬼ババァ』だなんて、インパクトがあるし、漢字、ひらがな、カタカナを使っていて、世界向きでいいじゃないか」と決まったそうです。
実際、香港の商業見本市に持参されたところ、現地の皆さんに大変な人気になったそうです。佐藤さんは、早くコロナ禍が終わり、大江に海外からもお客さんが戻ればと、願ってらっしゃいました。
佐藤さんの目標は、これからも多くの人に望まれるどぶろくを作ること。そして、どぶろくを通じて多くの人を元気にし、大江のまちを元気にすること。おいしく、喜ばれるものをと、ますます意気盛んです。
そんな佐藤さんですが、「私はお酒を飲まないの」と明るく笑っておられました。とても驚き、元気をもらった取材でした。
割烹さとう
福知山市大江町河守1847
電話0773-56-0066
FAX 0773-56-0688
定休日不定休
駐車場20台
公式サイト http://onibaba.jp/(外部リンク)
【プロフィール】
割烹さとう杜氏 佐藤則子さん
福知山市大江町河守在住
1951年生まれ
両親が営んでいた割烹さとうを引き継ぎ、長年夫婦で盛り立ててきた
2011年 どぶろく醸造開始
以降、全国研究大会でのコンテストで日本一(最優秀賞)3回、
優秀賞4回を含め入賞計11回(2022年3月現在)を誇る
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