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前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 文化力を向上するための施策
第1節 京都の文化の継承、発展及び創造のための施策等(第10条-第12条)
第2節 文化活動の充実のための施策(第13条―第15条)
第3章 文化力を発揮するための施策(第16条―第19条)
附則
文化は、日々の生活や経済行為の中に深く根ざし、長い歴史をかけて積み重ねられ、伝えられてきた英知の結晶であり、人と人とが共生し、うるおいのある地域社会を築いていく糧となるものである。また、新たな文化との出会いは、私たちの創造力を高め、感性を刺激し、生活を豊かにする社会的及び経済的な活力の源泉となるなど、文化は、様々な力、いわゆる文化力を有している。
京都は、古来から、海外の多様な文化を受け入れ、伝統の上に新たな文化を創造し、海外や他の地域の人々とも共に生きる文化をはぐくんできた。さらに、それを絶えず刷新してきた創造的な気風の下に、人々を引き付けてやまない我が国を代表する文化を形成し、優れた芸術を生み出してきた。同時に、丹後から山城までの各地域において、自然と共生しながら、個性豊かな文化と産業を築き上げ、京都の文化を高め、支えてきた。
現代の日本社会は、物質的な豊かさの中にあるものの、人や地域とのきずなが希薄化していることも指摘されている。このような状況において、人々が生き生きと暮らし、また、次代を担う若者が伸びやかに育つためには、私たちは、魅力ある文化を持つ京都の一員として、文化に親しみ、次世代に継承するよう努めるとともに、文化を介した交流を積極的に行い、地域を元気にしていくことが求められている。さらに、これまで培われてきた文化を新たな価値の創造のために活用することができる環境の整備等を通じて、文化力の向上を図り、京都の多様な文化を生かす創造活動が活発に行われる社会を実現していくことが緊要な課題となっている。
このような認識の下に、文化力による京都の活性化の推進についての基本理念を定め、府民と協働しながら、多様な文化の振興を図るとともに、文化力による京都の活性化の推進に関する施策を総合的に推進し、もって、心豊かでより質の高い府民生活及び活力ある京都の実現に寄与するため、この条例を制定する。
第1条 文化力による京都の活性化の推進は、府民が、等しく、多様な文化に親しみ、参加し、又はこれを創造することができる環境の下に、文化に関する活動(以下「文化活動」という。)が活発に行われることを旨として、行われなければならない。
2 文化力による京都の活性化の推進は、府民が、自主性に基づき、京都の文化の継承及び発展に努め、かつ、社会全体で文化を大切にする気運の醸成を図ることを旨として、行われなければならない。
3 文化力による京都の活性化の推進は、地域の歴史及び風土を反映した魅力ある文化が息づく地域社会を実現することを旨として、行われなければならない。
4 文化力による京都の活性化の推進は、京都の豊富な技術、意匠等の知的資産を活用した活動が活発に行われる環境を整備することにより、創造性豊かな社会を実現することを旨として、行われなければならない。
5 文化力による京都の活性化の推進に当たっては、将来の社会の発展を支える基礎的な学問、研究等の振興に配慮しなければならない。
6 文化力による京都の活性化の推進に当たっては、社会の発展が真に心豊かな府民生活の実現に寄与するものとなるよう、人間尊重の価値観をかん養する文化の役割に配慮しなければならない。
7 文化力による京都の活性化の推進に当たっては、文化芸術振興基本法(平成13年法律第148号)の趣旨を踏まえ、芸術をはじめとする多様な文化の振興が図られなければならない。
第2条 府は、前条に定める基本理念にのっとり、文化力による京都の活性化の推進に関する施策を総合的に策定し、これを実施するものとする。
2 府は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、府民、市町村、他の都道府県、国等と連携し、及び協働して取り組むものとする。
第3条 府民は、自主性に基づき、日常生活において、文化に触れ、親しむこと等を通じて、京都の文化の継承及び発展に貢献する役割を果たすよう努めるものとする。
第4条 文化活動を行う者は、必要に応じ、相互に連携して、京都の文化の継承、発展及び創造に貢献する役割を果たすよう努めるものとする。
第5条 大学等の教育研究機関は、その有する専門知識、人材、設備等を生かした文化活動への支援、創造性豊かな人材の育成等を通じて、京都の文化の継承、発展及び創造に貢献する役割を果たすよう努めるものとする。
第6条 事業者は、文化活動への支援又は事業活動を通じて、京都の文化の継承、発展及び創造に貢献する役割を果たすよう努めるものとする。
第7条 知事は、文化力による京都の活性化を推進するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。
2 基本指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 文化力による京都の活性化の推進に関する基本的な事項
(2) 文化力による京都の活性化の推進に関する施策
(3) 前2号に掲げるもののほか、文化力による京都の活性化の推進に関する必要な事項
3 知事は、基本指針を定めるに当たっては、府民の意見を反映することができるよう適切な措置を講じるものとする。
4 知事は、基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、基本指針の変更について準用する。
第8条 府は、市町村、府民等と連携して、文化力による京都の活性化を推進する体制を整備するものとする。
2 府は、文化の振興を推進する上で市町村が果たす役割の重要性にかんがみ、市町村が行う地域の特性に応じた文化の振興等に関する施策の推進に必要な情報の提供その他の支援を行うとともに、必要に応じ、市町村相互間の連携が図られるよう努めるものとする。
第9条 府は、文化力による京都の活性化の推進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講じるものとする。
第10条 府は、伝統的な文化をはじめとする多様な京都の文化の継承、発展及び創造を図るため、文化に触れ、身近に親しむことができる機会の提供、文化に関する公演、展示等への支援、文化の振興及び発展に顕著な貢献をした者の表彰その他の必要な施策を実施するものとする。
第11条 府は、文化活動により生み出される多様な創作物(以下「文化的創作物」という。)を創造する者の活動を支援するため、その者が文化的創作物を創造し、及び成果を発表する機会の提供その他の必要な施策を実施するものとする。
第12条 府は、京都の歴史的又は文化的な景観が、文化をはぐくむ上で重要な役割を果たしてきたことを踏まえ、これらの景観の保全及び再生を図るため、景観の保全及び再生に取り組む活動に関する情報の提供その他の必要な施策を実施するものとする。
第13条 府は、地域における文化の振興を図るため、地域における文化に関する公演、展示等への支援、地域固有の伝統芸能、民俗芸能等に関する活動への支援その他の必要な施策を実施するものとする。
2 府は、文化を生かしたまちづくりのための活動の促進を図るため、文化活動を支援する者の育成、文化活動を行う者と文化活動を支援する者、観光、教育、福祉その他の分野における活動を行う者等との相互交流の機会の提供その他の必要な施策を実施するものとする。
第14条 府は、学校教育及び社会教育における文化活動の充実を図るため、文化に関する体験学習の充実、文化活動を行う者による学校等における文化活動に対する協力への支援その他の必要な施策を実施するものとする。
第15条 府は、次代の社会を担う子どもや青少年(以下「次世代」という。)が行う文化活動の充実を図るため、次世代を対象とした文化に関する公演、展示等への支援、次世代による文化活動への支援その他の必要な施策を実施するものとする。
2 府は、次世代の豊かな人間性をはぐくむため、次世代が様々な支援を受けながら、優れた文化を体験し、又は文化を創造することができる機会の提供その他の必要な施策を実施するものとする。
(知的資産の活用)
第16条 府は、文化的創作物の創造活動において、技術、意匠等の知的資産が活用され、新たな価値を生み出すことを促進するため、情報の提供その他の必要な施策を実施するものとする。
第17条 府は、文化的創作物の創造による活性化を推進するため、文化的創作物の創造を業としようとする者の起業への支援、文化的創作物の創造を業とする者の事業活動への支援その他の必要な施策を実施するものとする。
第18条 府は、地域の特色ある文化資源が観光資源として活用されることを促進するため、文化資源の魅力を高める活動への支援、文化資源に関する情報の発信その他の必要な施策を実施するものとする。
2 府は、地域の特色ある文化資源が相互に結びつけられ、広域的な観光資源として活用されることを促進するため、文化資源の魅力を高める活動を行う者が相互に交流する機会の提供その他の必要な施策を実施するものとする。
第19条 府は、文化力による京都の活性化を推進するため、文化力を発揮するための施策の策定及び実施に必要な調査研究を行うものとする。
この条例は、公布の日から施行する。
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