「京都府文化力による地域活性化推進条例(仮称)」第1回検討委員会 開催結果
日時
平成16年12月23日(木曜) 午後3時から5時まで
場所
京都文化博物館 別館2階 会議室
出席者
池坊由紀委員、坂上英彦委員、西口光博座長代理、真山達志座長、山本壯太副座長、吉澤健吉委員(五十音順、敬称略)
議題
- 座長、座長代理及び副座長の選出
- 会議の公開・非公開について(公開することとなった)
- 研究会の設置趣旨、スケジュール等について
- 文化施策の現状等について
- 意見交換
委員意見の要旨
- 文化振興の理念や考え方を議論するのは楽しいし必要であるが、それらを条例とどうリンクさせていくのかとなると、条例の形式上の限界との兼ね合いという点が今後問題となるだろう。
- アクションプランなど府の具体的な施策とリンクさせる形で条例の中身を詰めていきたいと考える。
- 伝統文化が文化のメインになるが、これまで範疇に入れられていなかった新しいものも検討する必要があると感じた。例えばヨーロッパではスポーツは文化とされている。
- 具体的な議論になると難しい部分があると思うが次回以降、論点を絞って議論していきたいと考える。
- 府の条例を検討する上では、
(1)府内全域の特色ある地域文化を見渡すこと
(2)過去の蓄積をどう活かしていくのかという視点、具体策の検討
(3)「府」という公と「府民」という民間がいかにジョイントするか
という三つの視点が重要と考える。
- 古来から文化と芸術は金にならないといわれている。文化芸術を活性化していくためには「タネ銭」が必要。公が少額でも「核」となるものを提供する。または、バックアップ、後援などの箔付けでも良い。それらを行うことにより他の支援が集まってくると考える。
- 今日本で元気があるのは沖縄だと感じる。沖縄は独自の文化を楽しみ、子どもたちに伝えようとしているから光っているのではないか。日本の各地域文化が個性を失いつつある今、見習うべき点が多い。
- 他の地域の人に京都に住みたいと思わせるようなあこがれを持ってもらうためには文化のジャンルが大きな役割を果たす。
- 昭和50年代に京都で世界クラフト会議が開催されたが、開催の背景には、中世、近世、近代、現代と歩んできた日本や京都の製造業、ものづくりの長い歴史があったことにも着目する必要がある。府域には古代丹後王国など歴史的蓄積が多く、大変な仕事になるがそれらを整理していきたいと考える。
- 京都市の条例策定協議会の委員もしているが、これまでに委員会が3回開催され、粗い素案ができている段階。京都らしい個性をどう盛り込んでいくのかということや、生活文化の重要性も取り入れていこうといった議論になっている。
- 一般の方は京都の文化=京都市の文化と認識しがちで、府域の豊かで個性的な地域性の高い文化に対する認識が低いように思う。それぞれの地域文化の現状や、実際にそこで暮らしている人の実感に基づく文化に対する理解も知りたいと思う。
- 府が「新世代いけばな展」に取り組んでいただいた結果、個々の流派などに横のつながりができた。こうした行政の既存の施策(発表の場の提供など)がより有効に機能するような、府ならではの個性あふれる条例となるように頑張っていきたい。
- 価値観が多様化する中で、従来の家元制度や徒弟制度、しきたりの中で守られてきたということだけでは片づけられない部分がでてきた。しかしながら「しきたり」があってこそ伝統が途切れることなく続いてきたということもあり、システムを保ちながら、若い人の感覚とどう共存させ、どのようにつなげていくのかということが今後の課題である。
- 広域行政の新たな枠組みが形成されつつある中で、文化創出の府域全体にわたる仕組みづくり、プロデューサーのような機能、役割について検討する必要がある。
- 最近、中国や韓国の文化戦略はすごいと感じる。東京や大阪がどうだという観点よりもアジア全体や世界を見渡す視点が今後必要となる。
- 芸術系大学の立場で考えると、アーティストが、市場としてみた場合に自分の作品はどうなんだという、経営と芸術のありようや芸術・文化の産業化といった学問領域が今後必要になってくるのではないか。
- 文化芸術の産業化を目指すためには、府の文化の産業連関表や文化が地域産業に与えている影響の分析などバロメーターとなる何らかの指標を持っておく必要があるのではないか。また、目標となる都市などベンチマークを定め、まねるのではなく学ぶべき点は学ぶといったことも必要だと考える。
- 京都は権威の都といえる。
(1)天皇
(2)仏教の総本山
(3)伝統芸能の家元
(4)大学都市
京都のすごさは府内各地域とも4つの権威の元で産業が成立してやってきたことである。
- 伝統産業の振興発展には、補助金を交付するよりもアイデアや斬新なプログラムに対する助成のほうが大事ではないか。
- 京都に来た学生にもっと京都の良さに触れてから卒業してもらわなくてはもったいない。また、府はもっと大学行政に取り組むべきだと思う。