第4回次世代の文化創造研究会開催結果
日時
平成16年4月24日(土曜) 午前10時から12時まで
場所
京都文化博物館
出席者
太田垣實委員、小暮宣雄委員、金剛育子委員、鈴木千鶴子委員、瀧口宣男委員
中島裕規子委員、水本邦彦副座長、鷲田清一座長
(五十音順、敬称略)
議題
- 次世代育成の基本理念の素案について
- 次世代の文化創造に向けた具体施策の素案について
委員意見の要旨
- 子どもが自らで考え行動することが大切である。
- 行政が文化に手を差し伸べる段階では、文化が衰退している状態にある。
- この研究会のテーマである「次世代の文化創造」については、「創造」の部分に重きを置いた方がよいのではないか。
- 文化というものは混沌とし割り切れないものである。
- 施策を考える上では、ミクロ的な部分にも選択肢を与えることが重要である。
- 文化による次世代の育成を考えるときには、エデュケーション・スルー・ジ・アーツなのか、バイ・ジ・アーツなのか、フォー・ジ・アーツなのかを整理する必要がある
- 演劇に関わる高校生の数は甲子園を目指す球児よりも多いが、マスコミ等の扱いは甲子園に比べて小さい。これは野球は勝っても負けても記事になるが、演劇等文化芸術については一定のルールがないので記事にもなりにくい。文化は割り切れないものであることを理解し、それに対し府がどこまでお金を出せるか。
- 行政とアーティストと府民を繋ぐアートマネジメントが重要。
- 舞台裏を見せたり、能の装束を身につけるといった試みも実施しており子どもたちの反応も良い。
- 行政もいろいろな施策を実施しているが、まとめて見せることが大事。
- 人間として良く生きるため文化は必要である。才能をつぶすのは簡単。才能を育てることは難しい。
- 文化は不要で衣食住だけでいいと思っている人はいない。特に子どもを持つ親は、子どもたちに文化に親しんでほしいと願っている。
- 府の子どものための文化施策があまり知られていないという意見が多いが、青少年団体や学校を通じて事業は広められており、活用されている。市町村では、子どもの体験パンフレットを作ったりもしている。
- 子どもをお客さん扱いするのではなく、興味のある子どもを集め、竹から竹とんぼを作るなど、最初から最後までの課程を体験させる機会が大切。
- びわこホールの舞台裏を子どもたちと見せてもらったが、普段みられない危険なところなどを見れたのは、子どもたちには良い体験であった。
- 文化芸術に携わるようになって、「なぜここにいるのか、なぜこの出会いがあるのか」といったことを考えるようになった。より良く生きるためには人との出会いが大事。
- 滋賀県では小学校5年生の子どもたちが必ず学習船「うみの子」に乗って泊まりがけで琵琶湖に出る。その共通体験を通じて「滋賀の子」になる。京都も「京都の子」をつくる必要があるのかどうか。
- 子どもと京都府をつなぐ視点が必要。丹後も丹波もあり、継承のさせ方もいくつかあるのではないか。
- 府の過去の整理「地域文化・生活文化・芸術文化」という多様な文化を繋ぐという整理は良い。
- 知事と懇談したところ、次世代の条例は難しいので、基本理念や施策を時間をかけて検討してもらいたいとのことであった。各委員の思いとも一致していると思うので良いほうの軌道修正と考える。最終的には委員の手づくり、我々府民代表の言葉で書く方向で進めていきたい。
- 基本理念の基本となるものは、
(1)大人の中で厳しいこと楽しいことに触れ、意志決定のプロセスに関わらせる。
(2)本物に触れ体験させる。
(3)子どもに選択肢を示す。
ことだと考えている。
- 3月のワーキングでは子どもたちに、京都ならではの文化をどう伝えていくか等の意見交換を行い、子どもたちに学校を離れて大人が真剣に取り組んでいる姿に触れさせるという「中学生版インターンシップ」というアイデアが出た。
- 京都は本物がかろうじて残っている特異な場所である。広い意味で文化が極められており、日常生活に風がある。何を伝えていかなければならないか、世代間の関係はどうあるべきかしっかり検討していきたい。
- 文化の必要性をわざわざ言わなければならないのはさみしいことだ。正しい、良い、きれい、気持ちいいなど、例えば「味」なども文化である。文化は人を元気にする。例えば、京都出身者がスポーツで活躍するとうれしくなるものであるが、これはそのようなすばらしい文化を持つ地域に自分が属しているということがうれしいのである。
- 報告においては、京都府の中の地域性も含めた複数の文化を前面に出した方がよいのだろうか。
- 今後の予定は、来月中旬までにたたき台を作り、ワーキングで検討した上で、次回懇談会で検討させていただきたい。