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第1回次世代の文化創造研究会開催結果

日時

平成15年10月31日(金曜) 午後4時30分から6時まで

場所

京都府公館

出席者

太田垣實委員、河島伸子委員、小暮宣雄委員、金剛育子委員、鈴木千鶴子委員、
瀧口宣男委員、中島裕規子委員、ポーリン・ケント委員、水本邦彦副座長、
鷲田清一座長
(五十音順、敬称略) 

議題

  1. 京都府の文化施策等の現状と課題について
  2. 各委員からの「次世代の育成」課題提起
  3. 今後の進め方について

委員意見の要旨

  • 京都新聞社で20年文化にかかわってきたが、美術の世界も大きく変わってきた。新しい芽も確かに出てきているが、まだまだ十分に育っていない。
  • 地域の美術館・博物館をこれまで以上に活用しなければならない。(総合学習の受け皿になっていない。)
  • 条例については、これに縛られると自由な発想ができない。次世代が窮屈に感じないようにしなければならない。
  • 1990年代に企業メセナが盛んになり、主に企業と文化のかかわりについて研究してきた。文化は本来民間が主体となるほうがおもしろいが、国や地方公共団体など行政が力を入れると、動くスピード、資金はやはり大きい。
  • 京都府もいろいろな文化施策に取り組んでいるが、学生に聞いても、知らない、身近ではないといった声が聞かれる。どんなに質の高い活動をやっても知られなければ意味がない。
  • 次代を担う子どもたちの育成は重要だが、鑑賞者の裾野を広げる点では、たまたま知る、触れる機会がなかった大人世代も切り捨てたくない。
  • かつて公務員として自治省でふるさと創生1億円事業などを担当していたが、当時は、地方財政も状態が良く、文化ホールが全国各地に出来た。しかし箱だけ作って中身がないという状況であり、ホールマネージメントの充実が重要。
  • 文化は幅広い、最近私自身は、葬儀をはじめとする葬送文化に興味を持っている。
  • 子どもの育成については、文化のNPOと連携する必要がある。
  • 文化は本来、生活に根ざし、普段の生活の中で楽しんで育てるものである。世の中は便利になったが、子どもたちを取り巻く最近の社会環境は寒々としており、こころの問題がおろそかになっているのではないか。
  • 私どもへは修学旅行生が舞台鑑賞に来ることが多く、舞台を観て感激したと言う生徒が多い。
  • あまりにも西洋文化ばかりではなく、今後も伝統芸能を観てもらう努力をしていきたいが、行政にも協力願いたい。
  • 私たちの頃は家庭生活の中で多くを学んだ。例えば、家の外と内の区別がはっきりしており、最近の若い世代のように電車の床や地べたに直接座るようなことはなかった。こうした家庭でのしつけをおろそかにしているのは今の親世代だと反省している。
  • 昔の遊びや自然などの体験が大切であり、地域や家庭の生活の中で、文化を子どもたちに伝えていく必要がある。
  • 私の出身国オーストラリアは文化が無いと気にしている国で、国土が広すぎて子どもたちがほんものの芸術文化にふれる機会も少ないため、一生懸命がんばっている。
  • 各委員さんの文化の概念はそれぞれ違っていると感じた。生活文化、芸術アートなど様々な文化がある。文化の定義を整理する必要がある。
  • 生活と離れているような文化と生活文化を繋げていかなければいけない。
  • 文化は楽しくなければ理解されない、理解する方法は体験である。子どものレベルに合った、生活の中で理解できる範囲で説明をすればよい。
  • かつて4年間中学の教師をしていたが、その後12年の期間を空けて、現在NPOの代表としてまた音楽の授業にかかわっている。その経験から、中学校では文化芸術にふれる時間数が減っていると感じる。
  • ゆとりの時間は授業の補充に使われ、月に2回しか音楽の授業がないこともある。子どもを文化に触れさせる時間的問題も解決しなければならない。
  • 先におっしゃった話の逆になるが、小学校では文化に触れる時間は増えている。社会人講師を招いて三味線を聞いたり、地域のお祭りのおみこし作りに取り組んだり、今は見て体験するという機会が増え、生徒もそれを見ている親も興味を持って楽しんでいる。
  • こうした状況を、一過性のものにならないよう継続していく必要がある。
  • 歴史的に「都」「山城」「丹波」「丹後」など京都府には様々な地域文化があるが、「京都文化」というと「都」が中心になりがちである。
  • 京都府の地図というと南北に縦長のものを思い浮かべるが、明治期に京都府が作製した地図で南北が横向きのものがある。この地図を見た後に山陰線に乗ったところ、京都の北部に対して違った印象を受けた。
  • 文化の地域性、個性と重層性という視点も重要である。
  • 文化とは一言で言えば「風(ふう)」である。文化は生活そのものであり、それぞれの場所に「風(ふう)」がある。
  • 京都の人はうるさい人が多いと言うが、これは見識がある人が多いとむしろ喜ぶべきことである。
  • 文化に条例が馴染むのか疑問がある。そもそも文化は規制の枠外に生まれるものであり、条例には馴染まない。規制に従うところに文化は育たないのではないか。

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