第2回文化力による京都活性化研究会開催結果
日時
平成15年12月15日(月曜) 午後0時から2時まで
場所
平安会館
出席者
池坊由紀委員、川崎純性委員、黒竹節人委員、小池一範委員、坂上英彦委員、
清水洋一郎委員、谷岡知子委員、西口光博座長、福永晃三委員、山本壯太副座長
(五十音順、敬称略)
議題
(1)京都の文化力について
(2)文化力を活かす取組について
- 文化力を産業等に活かす施策事例について
- 文化施策と雇用について
委員意見の要旨
- 京都は名前が通っている観光名所以外にも、例えば西陣や丹後といったような所にもお宝はある。こういった周辺の輝きも文化力であり、うまく広報を活用して、若い人が行きたくなるような仕掛けが必要。
- 施策の打ち出しに当たっては、町それぞれが地域の色を出し、多くの人を巻き込み、そこに住む人の文化的意識を高めることが必要。ハード整備だけでなく、教育などを通じて、意識を高めるような働きかけが必要。
- 府北部地域では、毎年文化フェスティバルを開催するなど、骨太な色のはっきりした施策がよいのでは。
- 京都は日本全体の宝物という考えに基づき、観光客からの志という意味で、税を徴収することも考えてよいのでは。
- 京都以外の人は、京都の人の衣食住は違うと思っている。そこが魅せられるひとつの要因になるのでは。「信美創」(信仰、美術、創造)がバランスよくそろっており、お互いにうまく作用しているのでは。
- 丹後リゾート開発が頓挫しているが、若狭の海は欧米にはない景色であり、カジノやディズニーシーのようなものを持っていける可能性がある場所だと思う。一方、自然であるがゆえによい場所については、交通アクセスの整備だけで十分だろう。
- 年金や税金の問題はあるかもしれないが、年配の方に京都に移住していただく計画を具体的施策として提案したい。
- 女性のための「花嫁修業計画」というのもある。全国の女性に京都で華道や茶道、着付けや京料理などを習ってもらう。
- 若い人を府内に集められるようなシステムづくりが必要であり、地域の各組合等と意見交換するなどして、学生の受け皿づくりが必要。
- 京都の町家に対抗して、丹後の民家で勝負するなど、地域の風土や土地を活用して、京都市内と府内の文化力の違いを明確にするべき。豊かで生きがいがあり、住み続けることができることを宣伝、広報するべきである。
- 地域の拠点施設については、学生たちが行きたくなるような整備が必要。
- 芸術系大学と学生は多いが、産業界や大学同士の関係は薄い。工芸と伝統産業には各々違いがあって、クロスオーバーするところがあればよいのだが。
- 京都の仏像や龍安寺の石庭のフィギュアをつくり、京都でしか購入できないといったようなことをしてはどうか。
- 現在各地域でバラバラで開催されているアマチュアの市民展などを府の展覧会として、京都文化博物館などで開催できないか。出品者同士、刺激になるだけでなく、交流の機会も増える。
- 府の展覧会に民間企業の人にも審査に入ってもらい、民間の賞も設けてはどうか。
- 京都府美術工芸新鋭選抜展では、優秀な作家に賞を授与するだけに終わるのではなく、その後の活躍の場も設けてほしい。
- 京都には芸術系大学がたくさんあるが、京都らしい活躍の場が少なく、学生が一人前になっていく仕組みづくりが必要。例えば公共の博物館などでの展示機会の確保など施設の有効活用などが考えられる。
- 芸術系大学も産業社会との接点をもっと持つべき時期にきている。大学の魅力UP、学生の就職機会の確保にもつながる。
- 地域振興コラボレーターが必要なのではないか。各地域に眠る文化資産を見いだすため、各地方振興局で競いあわせても面白い。
- 規制緩和の考え方による文化に関わる免税措置が必要なのではないか。
- 府がそれぞれの地域の特色(オンリーワンの集合体である京都府)を応援していくべきでは。
- 京野菜が東京で売れているのには文化力がバックグラウンドにあるのでは。これは一例にすぎない。まだまだ活用できる文化力があるはず。
- 京都の文化力を高めるには芸術の頂点を高める(芸術家の育成)ことと裾野を広げるという施策が考えられる。文化振興を図るポイントとして次の7つが考えられる。
(1)産官学民のネットワークの形成
(2) コミュニティビジネスの拠点の整備
(3) ともに学び、教える生涯学習の拠点の整備
(4) 電脳都市(ITの能力を高める)の整備
(5) 芸術文化の観光拠点の整備
(6) 文化ボランティア活動拠点の整備
(7) 青少年の自己実現拠点の整備
- 例えば地域マネーの文化版、文化マネーの発行とか考えられる。民間の機構で運用し、博物館での支払いの際や文化ボランティアなどへの支払いなどに活用。(官の外に民活の仕組みをつくる。)
- 将来を担う若者への教育が大切。行政の施策によって教育内容がかわり、大きく羽ばたく機会になる
- 既存の施設の利用方法をもっと考えるべき。宇治市にある京焼きの里炭山の施設など活用されていない施設がたくさんあるのでは。
- 都おどりの記念のお皿は昔は六兵衞窯のものだったが、最近は採算を考えて、美濃で生産されている。京都のものをもっと活用しないとダメだと思う。
- 織部はNYのメトロポリタン美術館で展示して、世界の織部として有名になった。広報活動も必要。
- 京都市では積極的に民間の発想を取り入れようとしている。例えば、北イタリア(フィレンツェ)とのビジネス交流に力をいれている。これはミラノへの波及効果もみられ、まだまだ国際性という観点で見劣りしている京都文化、伝統などをPRできる絶好の機会である。府もエジンバラとの友好提携しているのだから、これを糸口に文化の恒常的な国際化を考えていけばどうか。
- ハードの施設はもう不要。
- 一つはソフト施策、もう一つはネットワークが大切だと思う。
- 府と市の役割分担を明確に。京都市域だけでなく、府域の施策を意図的に取り組まないと、府域の文化が京都市に同化してしまうおそれがある。方法の一つはIT。
- もっと民間の活力を活用すべき。民間から文化政策官みたいな人を登用し、民間の要望を直接反映できる組織があってもいいのでは。
- 小倉百人一首プロジェクトが動き出したが、初期のハードのみでなく、ここでなければならない物にも継続的な投資が必要。例えばNHK文化センターでは、小倉百人一首の事業を受けて、講座を全国で開設してはどうかと考えている。この講義の最終回を京都でやるとかすれば、観光客の増加にもつながるのでは。
- 京都の文化力として、「歴史」「大学」「寺院」が挙げられると思う。
- 京都の相対的な地位が落ちているので、ブランド化の戦略などが必要。
- 京都の芸術系大学を出た学生がその分野で活躍できるしくみづくりが必要。そうすれば京都の大学に多くの学生が集まる。
- 総合的な施策を推進する一方、個々の地域特性を伸ばす取り組みを押し進めるべき。またその地域特性をPRをしていくことも必要。