第1回文化力による京都活性化研究会開催結果
日時
平成15年10月20日(月曜) 午後6時から7時30分まで
場所
平安会館
出席者
川崎純性委員、黒竹節人委員、小池一範委員、坂上英彦委員、清水洋一郎委員、
谷岡知子委員、西口光博座長、福永晃三委員、山本壯太副座長
(五十音順、敬称略)
議題
- 研究会設置趣旨、スケジュール等について
- 文化施策等の現状と課題について
- 各委員からの「活性化に向けて」課題提起
委員意見の要旨
- 京都府には他府県にない文化力がある。その一方で見せ方もまずい。京都がクローズアップされている今、「京都」のありがたみを再認識し、活用すべき。
- 京都では新しい、古いという価値観で物事を考えるべきでない。京都には時計は必要ない。
- 西陣の図案家の家庭に育ち、本物にふれる機会が多くあったが、伝統産業が伝統の上にあぐらをかき、ものづくりの原点を忘れて、ずたずたになってしまったのを見てきた。足元をみることが大事。
- 今、京都市立芸大で日本画を教えているが、学生達からとても面白いものがたくさん出ており、京都は育つ土壌がある。しかしこれらの宝を活用する場が京都にはない。
- 「Kyoto cool」として「京都のかっこよさ」をアピールしてはどうか。文化戦略 を考えるべき。
- 文化は税の投資対象として使えるのではないか、国への提言を含め、大胆な方法をとるべき。
- 現代のマーケットに応じて、京都ブランドを再構築するべき時では。(文化の商品化)
- 文化を理解し発展、発信するキュレーターの育成なども条例に盛り込むべき。(間接・客観評価のための条例化)
- 観光商品に文化体験を盛り込んでは。(体験メニューの整備)
- 国で取り組んでいるビジットジャパンキャンペーンで目新しい動きが見られない。東京は数億かけてPRしている。京都こそもっとPRすべき。京都は観光ストックがあるのに通過されている。例えばナポリのように車を市街地にいれないなどの工夫がいるのでは。
- 中国ともっと交流し、中国戦略が必要。
- 産学官連携を視野にいれ、民間の力を活用して、文化の力をだしていくといいのでは。
- デジタルアーカイブなど盛んだが、もっとマーケットで売れるものを対象にIT化を進め、ビジネスモデルとして展開するべき。
- 京都の企業は東京や世界を市場としており、京都は商品の市場ではないような気がする。
- 町家が店舗に改装されており、その数は飲食業で130店舗以上、トータルで500店舗以上になる。
- 京都にはもてなしの文化があり、学びたいという人は多い。
- カジノや資格検定制度の導入なども個人的に考えている。
- 日本人が日本人であることを自覚するとともに、京都人が京都人であることを自覚すべき。
- 日本はすっかりアメリカナイズされたが、長期計画のもと50年かけて、京都を取り戻す動きが必要。
- 中国は自分の文化に自信を持っており、他を寄せ付けない。京都もこれを見習うべき。
- 京都市内を車両乗り入れ規制し、歩いて楽しい街にすれば、市街地が観光スポットになる。
- 京都にはさまざまな伝統工芸品が揃っており、潜在力のすごさと魅力にあふれている。
- 文化は複合的なものであり、京都の資産をどう生かすか、そしてそれを実行する力が必要。
- 昔ながらの旅館が70年代にアルミサッシやモルタルを使った改築や建て替えを行い、観光客がこなくなった。
- 民宿的な京町家を伝統的な技術を生かしていかにリニューアルしていくかを考える必要がある。
- 京都のよさ、素材を生かしたやり方でないと、古いものをつぶして新しいものを作ったのでは魅力がない。
- 洛中の魅力をどう創生していくかを考えるに当たり、府と市のタイアップが必要。
- 人の動き、導線のもっていき方を考えたアクセスの整備が必要。二条駅は北部からの入口。
- 半世紀かけてつぶしてきたものを半世紀かけて作り上げていく「超再生」の考え方が必要。
- 教育の中で京都の魅力を再認識させる必要がある。
- 文化や観光の話になると市になってしまうが、市ではなく府の視点で取り組む必要がある。(京都文化イコール洛中文化ではない)
- 文化や言論は意図的に抵抗しないと集積地に吸収されてしまう。
- 二条駅は交通ターミナルになり得る。文化の中心は三条の京都文化博物館だと思っている。
- 文化は現物と映像(IT)から成り立つものだと思っており、広域では映像の方が果たす役割が大きい。
- 京都文化博物館では映像事業に取り組んでおり、京都文化を発信するターミナルにしてはどうか。
- 三条にはNTTがあり、これにNHKが加わって、映像集積地を形成し、映像発信都市を目指してもよいのでは。(映像都市構想)
- 府内各地域に住む人たちはそれぞれが郷土愛を持っており、それらを鼓舞するに当たり、府にできることがあるのでは。
- NPOにより地域都市の活性化を目指す動きがあり、それらの中核となる人材の発掘、組織化に当たり、府の果たす役割があるのでは。
- 地域の活性化とは、府民一人一人が楽しく生きられ、京都に住んでよかったと思えるようにすることで、文化をベースに考えていくのがこの研究会と考える。
- 京都は、丹後から山城まで文化の集積がある。自分たちの住んでいるところの文化を大切にすることが大きな力になる。